三井物産6% 日産16% トヨタ26%
大もうけしている大企業ほど法人税をわずかしか払っていません。各社の財務資料から本紙が過去8年間の平均税負担率を計算したところ、もうけ(税引前当期純利益)が多い上位20社の法人3税の負担率が30%にも満たないことが分かりました。
法人3税
法人3税とは国税の法人税と地方税の法人事業税、法人住民税を合わせたもので、その税率を法定実効税率といいます。本来なら復興特別法人税(約3%)をふくめ、税引前当期純利益の約38%を納める必要があります。しかし、上位20社では29・9%と3割を割り込んだほか、上位600社でも32・3%と法定税率より低い額しか負担していません。
個別企業では三井物産が6・3%、三菱電機は9・5%でした。カルロス・ゴーン社長に9億8800万円の役員報酬を出した日産は16・0%、「円安効果」でもうけを拡大しているトヨタでも26・1%しか負担していません。
これは、巨額の利益を上げている大企業ほど、さまざまな優遇税制を使いやすいからです。たとえば研究開発減税は11年度の減税総額3386億円のうち、84・9%が資本金10億円以上の大企業と連結企業グループでした。また、09年度から導入された「海外子会社配当非課税制度」は、多国籍企業に大きな恩恵を与えます。
安倍晋三政権はこうした大もうけをしている大企業に対して、今年も投資減税などを追加、研究開発減税も拡充しました。15年度からは法人3税の法定税率が35%に下がることが決められています。その上、自民党は参院選政策で「思い切った投資減税」「法人税の大胆な引き下げ」を掲げています。
安倍自・公政権は一方で消費税率を来年4月には8%、15年10月には10%まで引き上げるとしています。日本共産党は消費税増税ではなく、大企業・大資産家に応分の負担を求める税制の抜本改革が必要だと主張しています。
参議院選挙で、内部留保をため込んでいる大企業には減税、賃金が下がり続ける庶民には消費税増税を行う安倍自・公政権には、「ノー」の審判を下す必要があります。
海外子会社配当非課税制度 外国子会社から受ける配当などの額の95%を非課税とする制度です。海外に子会社を多く持つ大企業ほど恩恵が大きくなります。
大企業をどうする?
社会的責任を果たさせる
「日本共産党は、大企業を敵視しているの?」「つぶすつもりなの?」と考えていらっしゃるとしたら、とんでもない誤解です。
日本共産党は、大企業の横暴勝手をあらため、その巨大な経済力を日本経済と国民のために使うべきだと、あたりまえのことを言っているだけなのです。
そのことが日本経済の健全な発展を保障し、企業活動にとっても持続的な発展をもたらします。
たとえば、大企業の内部留保260兆円は、正規労働から非正規労働への置き換えや「派遣切り」、リストラや下請けいじめを容赦なくすすめた結果です。
個々の企業にとっては賃下げや下請け業者の単価切り下げは、コストを減らし、企業の「体力」を強化するようにみえます。しかし、日本中の企業が同じことをやれば、国民の所得は大きく減り、消費は冷え込み、不況の悪循環になります。国民のなかに貧困が広がり、結局は企業経営も立ち行かなくなります。
こういう大企業の横暴勝手をおさえて、国民を守るルールをつくる―それが日本共産党の提案なのです。