安倍晋三首相は17日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行いました。特別国会召集から2週間もたっての演説は中身もなく、国民と国会に真剣に向き合う姿勢もない「ないない尽くし」の異常な“表明”となりました。
疑惑説明ない
安倍首相は総選挙での党首討論で、自らの関与が問われている「森友・加計疑惑」について「国会で説明が求められれば丁寧に説明する」と繰り返してきました。
しかし、自らの政治姿勢を示す場である所信演説で一切「森友・加計疑惑」について言及なし。それどころか、民意をゆがめる小選挙区制で得た自公3分の2超議席が「国民の意思だ」と居直りました。
「国難」方策ない
所信演説では、北朝鮮情勢や少子高齢化を挙げて「国難を乗り越える」と強調しました。
本当に「国難打開」というなら、与野党をあげての呼びかけとなるものですが、演説では「自民党および公明党の連立与党の諸君とともに」と与党だけの目線。打開の方策はなく、北朝鮮問題では「あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下、具体的な行動をとっていく」「防衛力を強化(する)」と事態を悪化させる軍事的対応の表明です。「対話」にも触れません。
国民の暮らしをめぐっても、全世代にわたる負担増の狙いを隠して「社会保障制度を、お年寄りも若者も安心できる『全世代型』へ改革する」と述べ、2019年の消費税10%への増税を前提に、「子育て世代への投資と社会保障の安定化」をうたいました。
やる気もない
国会審議から逃げ続けてきた安倍首相の姿勢を象徴する所信演説となりました。所信演説時間はわずか15分。文字にして約3500字です。これは、昨年9月の臨時国会時の約半分、第1次~4次の安倍政権下で最短。1990年代以降でも小泉純一郎首相当時の05年特別国会に次ぐ短さでした。