参院審議入り 仁比氏、議場でよびかけ
「あと1週間しかない今国会で強行しようなど、『国権の最高機関』たる国会の自殺行為ではないか」。27日の参院本会議で質問にたった日本共産党の仁比聡平議員は、前日の衆院での秘密保護法案強行採決に「満身の怒りをもって抗議する」と安倍晋三首相に迫り、出席議員に廃案をよびかけました。与党とみんなの党の強行採決で衆院を通過した同法案をめぐる国会での攻防は参院に舞台が移りました。同日夕、東京・新宿駅西口では、前日に続き日本共産党が街頭宣伝を行い法案成立阻止をよびかけました。全国各地でも党支部はもとより、弁護士会や市民団体など各界各層の人たち、広範な団体による法案反対の行動が繰り広げられました。
参院本会議で仁比議員は、先の参院選で首相が一切触れていなかった法案をなぜここまで強行するのかと批判。かつてない広範な層の国民に加え、国連の人権担当部局の特別報告者や「国際ペン」など海外からも異例の懸念・反対の声があがっているのは「法案の骨格そのものに基本的人権の保障、平和主義という憲法原理と両立しえない重大な危険性があるからだ」と強調しました。
安倍首相は「早期に法案が成立するよう引き続き努力していく」と答弁。噴出する反対世論を全く顧みない姿勢を示しました。
仁比氏は、未遂・共謀・教唆(きょうさ)・扇動によって秘密漏えいがなくても国民に重罰を科す法案の仕組みを示し、威嚇の対象は公務員だけでなく「国民の日常とその自由だ」と指摘。「一般人は一切処罰対象とならない」(森雅子担当相、11日の衆院特別委)との答弁は「密室で自白を強要してきた刑事司法の現実に目を背けたとんでもない詭弁(きべん)だ」と批判しました。
安倍首相は国民に対する強制捜査や起訴について「捜査機関で個別具体的な事案に即して判断すべき事柄だ」と答え、歯止めがないことを認めました。
仁比氏は、曖昧な処罰規定と二転三転する担当相の答弁は「法案を運用する行政・捜査機関の恣意(しい)的乱用を野放しにするものだ」と指摘。「指揮命令権限さえ持たない担当相を任じた首相の責任は重大だ」と追及しました。安倍首相は「森大臣のリーダーシップの下、引き続き尽力いただきたい」と擁護しました。
「議員の皆さんに警鐘を鳴らしたい。政治的立場は違っても、国民を代表し、巨大な行政権力に断固として迫ってこそ国会議員ではないか」。仁比氏が最後にこう呼びかけると、議場では他党からも拍手がおこりました。仁比氏は憲法と相いれない法案の危険は「修正協議」でなんら減じられておらず、「廃案にするほかない」と力説しました。