自衛隊・統合幕僚監部が国会を無視して戦争法案成立を前提に具体化を進めていたことが暴露された二つの内部文書について考える「緊急シンポジウム 統幕文書問題と安保法案」が10日、都内で開かれました。戦争法案の廃案を求めている「統幕文書問題を考える憲法研究者の会」のよびかけで市民ら100人以上が参加しました。
司会の三輪隆・埼玉大学名誉教授が「国会は最終盤にあるが、この問題の重要性を無視して先に進むことは非常に問題だ」と強調しました。
3氏が報告。青井未帆・学習院大学教授は「憲法そのものが文民統制を要求している。安保法制は議論が十分深まらずに国会で通ろうとしている」と述べ、自衛隊の暴走を批判。「(統幕長が訪米時に法案成立を)アメリカと約束し、憲法よりも上のところで決まったことを粛々と実行していく」危険性があると警告しました。
日本ジャーナリスト会議会員の大内要三氏は、統幕文書に示された「軍軍間の調整所」に関して「(作戦行動を)自衛隊と米軍で決め、大事なことは秘密保護法で黒塗りになる。国会審議は単なるセレモニーになる危険がある」と指摘。メディアの報道姿勢についても「まともに取り上げず、過小評価している」と批判し、“軍部の暴走”の危険が強まる懸念があるとしました。
小沢隆一・東京慈恵会医科大学教授は「廃案に追い込めば、国民の声で法案をつぶしたという日本の民主主義の夜明けになる」と強調。「私たち憲法学者が意見を表明し、みなさんと共有して大きな声にして、(戦争法案廃案を)国民的な常識にしていくことが肝心だ」と述べました。