「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は26日、日本共産党、民進党、自由党、社民党の野党4党に対し、次期衆院選での野党のたたかい方と政策に関する要望書を提出しました。
要望書では、安倍晋三首相が表明した臨時国会冒頭解散について、「言論に基づく議会政治を否定し、立憲民主主義を破壊する暴挙」だと批判。その上で、立憲主義の原理を共有する4野党が、小選挙区で地域事情を勘案し、候補者をできる限り調整することで「与野党1対1の構図」をつくり、「国民に憲政と民主主義を擁護する選択肢を提供する責任があります」と強調しました。
要望する政策は、9条改定への反対や、安保法制、共謀罪法などの廃止、福島第1原発事故の検証のないままの再稼働を認めないことなど、7項目にわたって提示。4野党がこれらの政策を重く受け止め、「安倍政権を倒すという同じ方向性をもって、全力で闘うことを求めます」としました。
4野党への要請後、市民連合は国会内で記者会見し、山口二郎法政大学教授は「野党の候補者一本化に向けて、各党の明確な意思が確認できた」と述べました。各党の対応として「要望された政策の実現、総選挙での与野党1対1の構図に向けてできることを全力でやりたい」(民進)、「要望は全面的に賛同、共有したい」(自由)、「政策についてはわが党も共有する」(社民)などの回答があったと説明しました。
日本共産党は、小池晃書記局長、こくた恵二国対委員長・選対委員長が国会内で応対し、小池氏は「いままでの野党や市民の話し合いの積み重ねが結実した中身です。すべて実現する立場で選挙に全力でのぞみたい」と表明。「総選挙をたたかう旗印にし、さらに、選挙戦の中でより豊かなものにしていきたい」と語りました。
市民連合は、4野党が結束して安倍政権と対決していく姿を示すため、10月1日に市民連合主催の街頭宣伝を開き、4野党の代表を招きたいとしました。
●市民連合の要望書(骨子)
1 安倍政権が進めようとしている9条改正への反対
2 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法などの白紙撤回
3 福島第1原発事故の検証のないままの原発再稼働を認めない
4 森友・加計学園、南スーダン日報隠蔽(いんぺい)の疑惑を徹底究明
5 保育、教育、雇用に関する政策を飛躍的に拡充
6 8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立
7 LGBT(性的マイノリティー)への差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差の撤廃など
市民連合の「衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望」
「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が26日、日本共産党、民進党、自由党、社民党の野党4党に申し入れた要望は次の通りです。
安倍晋三首相は、9月28日に召集する臨時国会の冒頭に衆議院を解散する決意を固めたと報じられています。憲法第53条に基づく野党の臨時国会召集要求を無視し、さらに代表質問、予算委員会における質疑をすべて省略して選挙を行うことは、言論に基づく議会政治を否定し、立憲民主主義を破壊する暴挙と言わなければなりません。
この総選挙で再び与党およびその補完勢力に3分の2以上の議席を与えるならば、安倍政権が憲法改正を発議することは確実で、この選挙は憲政擁護の最後の機会となりかねません。立憲主義の原理を共有する4野党は、小選挙区においてそれぞれの地域事情を勘案し、候補者をできる限り調整することで与野党1対1の構図を作り、国民に憲政と民主主義を擁護する選択肢を提供する責任があります。
私たち、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合は、4野党が以下の政策を重く受け止め、安倍政権を倒すという同じ方向性をもって、全力で闘うことを求めます。
1 憲法違反の安保法制を上書きする形で、安倍政権がさらに進めようとしている憲法改正とりわけ第9条改正への反対。
2 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など安倍政権が行った立憲主義に反する諸法律の白紙撤回。
3 福島第一原発事故の検証のないままの原発再稼働を認めず、新しい日本のエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。
4 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。
5 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能にするための保育、教育、雇用に関する政策を飛躍的に拡充すること。
6 雇用の不安定化と過密労働を促す『働き方改革』に反対し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立すること。
7 LGBTに対する差別解消施策をはじめ、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員男女同数化を実現すること。
2017年9月26日 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合