情報保全隊が警察の協力で入手
秘密保護法案を先取りする動きとして、自衛隊員が国会議員や記者からの接触を受けた際、必ず報告するように防衛省が事務次官通達を出していたことを本紙は7日付で明らかにしました。この問題で、取材した記者の自宅住所など個人情報を自衛隊の情報保全隊が執拗(しつよう)に調べていることが、自衛隊関係者の証言などで明らかになりました。
悪法先取り 自衛隊関係者が証言
自衛隊の情報活動に詳しい関係者によると、記者が自衛隊員に取材した場合、接触を受けた隊員が上官に報告すると、その調査は情報保全隊が実施します。
情報保全隊は、接触を受けた隊員から直接聞き取りを行い、接触してきた記者の氏名や会社名、日時・場所、取材の内容などについて詳細に調査します。「とくに重視するのは、同じ記者から過去にも取材をうけたかどうか。何度も取材している記者だとわかると徹底的に調査する」(関係者)といいます。
徹底調査が必要と判断した記者については、自宅住所など個人情報を入手します。その方法は「警察の公安に協力をあおぐ場合が多い。公安に依頼すると、個人の住所などは間違いなくわかった」(関係者)と証言します。
日本共産党が2007年に明らかにした陸上自衛隊情報保全隊(当時)の国民監視を記録した内部文書でも、「反自衛隊活動」や「自衛隊に対するマスコミ動向」という項目で、複数の記者の取材活動を監視。「自称『朝日新聞社記者』を名乗る女某は、2月3日、1710(午後5時10分)頃、青森駐屯地正門前で退庁する隊員に対し自衛隊のイラク派遣に関する取材を実施」などと記録していました。
同文書では、隊員への取材だけでなく、自衛隊に協力する民間人の会などに取材を要請した場合でも記載されています。
前出の自衛隊関係者は、「秘密保護法案で『報道の自由に配慮』などとしているが、まったくありえない。広報を通した取材でさえ記録しているのだから、隊員に勝手に取材することは問題視される。しかもそういう手法が、全省庁や関連民間人に広げられるのは、軍事国家への危険な道だ」と指摘します。