日本共産党第27回大会で中央委員会報告に立った志位委員長は、大会決議案の章ごとに、全党討論を踏まえて解明が必要な問題、情勢の進展にそくして補強すべき問題を中心に報告しました。
疑問にこたえて
第1章では、全党討論で出されたいくつかの疑問に答えました。
決議案の「『共産党を除く』という『壁』が崩壊した」との指摘は、政党関係での共産党排除の体制が崩壊した意味だと述べ、その画期的・歴史的意義を強調し、国民のなかにある党への「誤解や拒否感」の克服は引き続く課題だと指摘しました。「野党共闘はうまくいくか」の声に対しては、「『うまくいくか』でなく、うまくいくように知恵と力を尽くす」ことが大切であり、それを発展させる力は、安倍暴走政治に対抗する新しい市民運動の発展と日本共産党の政治的躍進にかかっていると力説しました。
さらに、野党と市民が本気で共闘をすすめるなら、野党連合政権の問題は避けられないことを解き明かし、戦後の日本政治で初めて焦眉の課題として自民党政治を本格的に転換する野党連合政権をつくる可能性が生まれていると指摘。日本共産党としてありとあらゆる努力を傾ける決意を表明しました。
世界のつかみ方
第2章は、米大統領選などをうけ、「先が見えない時代」「世界は混とんとしている」との論調があふれるなか、世界の巨大な変化の大局をおさえながら、さまざまな逆流や複雑な諸問題にもリアリズムの立場でとらえる重要性を強調しました。
このなかで、米国が核兵器禁止条約の決議案に反対するよう同盟諸国に送付した「書簡」について言及。米核戦略を破たんさせる可能性など、核兵器禁止条約の締結交渉の動きがいかに画期的な意義をもつものかを解明しました。
トランプ次期米政権に対する注目点として(1)破たんした軍事的覇権主義の世界戦略(2)移民問題での排外主義(3)格差と貧困の深刻化への対処―などを挙げ、「新政権の動向を、強い警戒を持ち注視していきたい」と述べました。
全党討論のなかで中国問題に関し出た「“社会主義をめざす国”といえるのか」の意見について、決議案で指摘した「新しい大国主義・覇権主義」が「今後も続き、拡大する」か、それとも是正の方向に向かうのか、一定の長い目で今後をみていきたいと述べるとともに、12日の程永華駐日大使との会談にふれ、「決議案の内容は、すでに中国共産党に率直に伝えた」と報告しました。
安倍政権を告発
第3章では、憲法を無視した安倍政権の暴走が、昨年の臨時国会の中でむき出しの形で表れたと告発。「歯止めなき暴走」であり、「究極のモラルハザード(倫理喪失)政権だ」と批判しました。
安倍政権の「高支持率」について、その内実は“ウソと偽り”でつくられたものであり、きわめてもろく、「真実の光」をあてれば必ず崩せると強調。野党と市民の共闘を豊かに発展させ、多くの国民に魅力ある強力な別の選択肢―「受け皿」を示すことができれば、必ず情勢の大激変を起こせると訴えました。
そのうえで外交、内政両面で安倍政権の暴走政治を変えるたたかいの方針を提起。戦争法廃止の世論と運動のいっそうの発展とともに、「戦争法が暮らしを押しつぶし始めたことは極めて重大だ」と指摘し、「海外派兵のための軍事費を削って暮らしにまわせ」のたたかいを起こそうと呼びかけました。
「安倍外交」は、(1)アメリカ追随外交(2)財界奉仕外交(3)道理なき外交(4)反省なき外交―の四つの大問題があると述べ、決議案で示した日本外交の抜本的切り替えを訴えました。
また、決議案が提案した「格差と貧困をただす経済民主主義の改革」は、日本で格差と貧困が拡大した原因に正面からメスを入れる抜本的な処方箋となっていることを強調。「1%の富裕層や大企業のための政治でなく、99%の国民のための政治」を掲げ、「あらゆる分野で切実な暮らしを守るたたかいを起こし発展させよう」と呼びかけました。
野党と市民の共闘―統一戦線をさらに発展させる方向として、共闘のあり方のそもそも論を解明するとともに、「野党と市民の共闘が、色とりどりの『多様性』を相互に尊重し、相互にリスペクト(尊敬)をもって、国民的大義で結束するならば、『多様性』は『弱み』ではなく『強み』とすることができる」と強調。日本共産党の社会の段階的発展の立場、未来社会論、多数者革命論を党綱領の立場から解き明かし、日本共産党と将来像が違っていることが野党と市民の共闘を発展させる障害にならないことを指摘しました。
第4章では、いつ衆院解散となっても総選挙での勝利・躍進をかちとるため、野党と市民の共闘の体制をつくりあげることと、日本共産党の躍進のための取り組みを、同時並行で本格的にすすめることを強調しました。
総選挙をたたかう基本姿勢として、(1)野党共闘の前進と日本共産党躍進の一体的追求(2)「比例を軸に」、比例代表で「850万票、15%以上」をめざす取り組みと、小選挙区必勝区での勝利の一体追求―という「二つの一体的追求」を揺るがずつらぬく重要性を訴えました。
党建設の方針を示した第5章では、第27回党大会に向けて全党が取り組んだ4カ月間にわたる「党勢拡大大運動」の到達を報告。第26回党大会(2014年1月)以降3年間の「党勢倍加、世代的継承」の「二大目標」に挑戦する実践を通じて浮き彫りになった今後に生きる教訓として、(1)たたかいと一体に党勢拡大が前進している(2)党綱領が党建設でも生きた力を発揮している(3)党員拡大を根幹にすえることが党活動発展の原動力となっている―の3点を強調しました。
そのうえで、党大会として全党に対し、(1)「第27回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」の目標達成のために、最後まで力を尽くす(2)「大運動」で開始された党勢拡大の前進の流れを中断、後退させることなく、2月以降も継続的に発展させる―の二つの呼びかけを行いました。
決議案で指摘している三つの党建設の政治的意義に加え、「『日本の政治の新しい時代』を前にすすめる力量をもった党をつくろうということを訴えたい」と力を込め、草の根でしっかりと結びついた強く大きな党の建設は、「わが党に求められている歴史的責務だ」と訴えました。
最後の第6章では、戦前のたたかい、覇権主義とのたたかい、「日本共産党を除く」体制とのたたかいという決議案で強調した「歴史が決着をつけた三つのたたかい」それぞれが、現在と未来に生きる大きな財産をつくったことを、現在の野党と市民の共闘なども示して明らかにしました。
そのうえで、決議案が「95年のたたかいを経てつかんだ成果、切り開いた到達点に立って、開始された新しい統一戦線を発展させ、安倍政権を倒し、野党連合政権に挑戦しよう」と呼びかけていると強調。「党創立100周年をめざし、力あわせ未来をひらこう」と呼びかけました。