21世紀に入り自動車が普及し始めるまで、石油の用途は灯火用が中心だった。原油を精製して一定の割合で得られるガソリンは、危険な副産物として廃棄するのに苦心した。
もったいないことをしたものだ。今ではガソリンは主要な石油製品で、その旺盛な需要が原油の高騰を招いている。石油会社は昔とは逆に、ガソリンを出来るだけ多く得ようと工夫を凝らす。
石油製品の値上がりにもかかわらず、比較的落ち着いていた食品の科学が、このところ相次いで値上がりしている。食料品売り場では食用油やマヨネーズ、オレンジなどが高くなった。
さらに食品・外食産業の値上げ発表が、相次いでいる。国際的な農産物価額の上昇が原因で、その背景にあるのが「環境に優しい」バイオ燃料の普及だ。原油の高騰で産業としてなり立つようになったことも大きい。
米国では、燃料の原料となり採算の良いトウモロコシを増産するため、小麦や大豆等から切り替える農家が目立つ。サトウキビを燃料としたバイオ燃料を増産しようとするブラジルでは、森林を伐採して畑に替える動きもある。
世界では今も飢えに苦しむ人が多い中、大切な食べ物を採算第一と燃料に回す。環境保護を訴えながら森林を伐採する。