六十五才以上の高齢者二千七百七十万人のうち、およそ四百万人が一人暮らしとか。
子供との別居、パートナーとの死別、あるいは戦争等で結婚の機会を失い独身をとうした人達も。
どんな境遇にせよ、彼岸への旅立ちは例外なく孤独だが、長い高齢期をひっそり送り、人知れずその時を迎えるのはなんとも淋しすぎないか。
我が国は、伝統的な大家族社会から核家族社会え変貌を遂げてきた。
その過程で前時代的因習・価値観から解き放され、人間個々の自由度や生活領域が広まった反面、人の情や絆を季薄にさせてきたのではないか。
昨夏、徳島県で七十才代の男性が風呂場で転倒し、見る者もなくこの世を去った。
いわゆる孤独死だ。厚生省によれば、三万人を超える年間自殺者の三分の一は高齢者で、一人暮らしが多数派であるとも。晩年に向かうほど人間関係が少なくなざるをえないのが世の必然には違いないが..。
現在、地方の福祉現場や老人クラブなどで、独居高齢者の友愛訪問活動を行っているが、人のネットワークは十分に機能しているだろうか。いずれにせよ、淋しい晩年の解消策が一段と求められているのは間違いない。
ただ現在の高齢者の問題だけではない。子供を生まない、結婚もしない人達が増えている、今、子供孫達に囲まれて居てもその子孫に孤独にならない保証など何処にもない。
この問題、温暖化など数々の急務な事柄の1つではないだろうか。