「歩くZ旗」みね姉のひとりごと ~矜持 国を護るということ~

私たちを護ってくれている自衛隊を、私が護りたい!そんな気持ちで書いてきました。今は、自衛隊との日々の大切な記録です

「約束の海」

2014年03月08日 | 本の感想
いつもコメントを下さる方から、ご紹介頂いて、


さっそく購入して読みました。


約束の海




「白い巨塔」や「不毛地帯」で有名な、山崎豊子の絶筆です。


今回は、実際に起こった、海上自衛隊の潜水艦「なだしお」の事故をベースにしたお話でした。


偶然ですが、


おおすみの事故が記憶に新しい中でこの本を読むと、


潜水艦と輸送艦の違いこそあれ、


事故のことが非常にリアルに感じられます。


また、私自身、海上自衛隊に関する知識が、だいぶ増えてきたこともあり、


すんなりと読み進めることができました。






お話の流れは、けっこう淡々としていたのですが、


だからなのか、余計に現実味がありましたね。


潜水艦の生活や、任務が結構細かく書いてありました。


そのあたり、さすが山崎豊子だな~と。


潜水艦乗りの方と出会う前に、この本を読みたかったです。


以前、このブログでも書いた、ある潜水艦の艦長さん、


潜水艦の艦長を務めていらっしゃるので、スゴイ方だろうとは思っていましたが、


それよりも、知識のない身では、


「おもしろいおじさん」


としての印象の方が強かったので、


この本を読んだ後に、非常に非常に自分は失礼だったと深く反省した次第です…


話自体は、事故の事にスポットライトを当てているというよりは、


あくまで私の印象ですが、


潜水艦の任務やその意義を、その日々の行動を詳細に記すことで、


伝えてくれているように感じました。


最もわかりにくく知られていない、


潜水艦というものや、潜水艦に乗る人たちを少しでも知ることができる貴重な本ではないでしょうか。


それは、かの「沈黙の艦隊」などには描かれていない部分です。


あの作品を潜水艦のイメージの中枢に据えていらっしゃる方には、


違った意味で面白いと思います。


事故後は、予想通りといえばそうなのですが、


実際に、事故を起こした方々の心の叫びや苦悩が、読んでいて辛かったです。


先日のおおすみの事故でもそうなのだろうと思うと、余計に・・・。










潜水艦の船務士である主人公が、なんだか雰囲気はかっこよさそうな印象でしたね。


ちょっと不器用さはあるものの、生真面目でスマートな感じの、ザ☆海自士官という感じ


ちょっとしたラブロマンスもありなので、女性でも抵抗なく読めると思います。


個人的には、そのあたりの話は、わざとらしくて、あまり必要ない感じがしましたが(笑)


彼のお父様は、元帝国海軍で初めての捕虜になったという方。


この部分がもっと読み応えあっておもしろそうでしたので、


続きが一生出ることはないと思うと、非常に残念です。


この本は、本来三部構成だったのですが、


残念ながら、1部を書き終えた後に彼女はお亡くなりになってしまいました。


その、お父様についてのお話は2部で書かれる予定だったようです。


この本を書かれるために集められた、膨大な資料…


それを見るだけでも、見応えあって非常に面白かったのではないかと思いました。







しかし、この本は、


病床にあってなお、命を燃やしつつ、


その命が燃え尽きる直前まで執筆されていた本ということです。


そこまでして書きあげる想いとは、何なのだろうと思いました。


それは、私が、作中のどの部分よりも心を惹かれた、彼女の言葉…


本の帯に書いてあったこの言葉が全てだったのでしょう。


 戦争は絶対に反対ですが、だからといって、守るだけの力ももってはいけない、という考え方には同調できません。

 いろいろ勉強していくうちに、「戦争をしないための軍隊」

 という存在を追及してみたくなりました。

 尖閣列島の話にせよ、すぐにこうだ、と一等両断に出来る問題ではありません。

 そこを読者のみなさんと一緒に考えていきたいのです。

 戦争は私の中から消えることのないテーマです。戦争の時代に生きた私の、

 ”書かなければならない”

 という使命感が、私を突き動かすのです。



ここに集約されていると思います。


「戦争をしないための軍隊」という存在を追及してみたい言葉に、とてもシンパシーを覚えました。


そして、私が知る戦争体験者の方には、


「守るだけの力も持っていけない」


という考えに同調できないという方も、確かにいらっしゃいます。


間もなく、あれから3回目の3月11日を迎えます。


災害救助で大きな貢献をしてくださった自衛隊。


ですが、彼らの本来の任務は、災害救助ではなく、


国防なのだということを、再考してみる機会になるのではないでしょうか?