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コンビニ大手3社の今後のビジネス展開

2013年06月03日 18時09分46秒 | 学習支援・研究
コンビニ飽和状態、差別化を急ぐ 
「上質感」で需要掘り起こし

2013年5月23日(木)10:21
(フジサンケイビジネスアイ)


データ:コンビニ大手3社の店舗数

国内の総店舗数が昨年11月に5万店を超えて
「飽和状態」ともされる中、
コンビニエンスストア各社は
2013年度も出店攻勢をかけるとともに、
自社のカラーを濃厚に打ち出す
「差別化路線」を加速させている。
視線の先にあるのは、
スーパーや百貨店の食料品売り場「デパ地下」で買い物をする消費者。
商品の高品質化に取り組み、
東日本大震災後に利用が増えた女性やシニア層のさらなる取り込みを狙う。
さらに大都市圏以外の地域への出店も増やし、
需要の掘り起こしに努める構えだ。

関越自動車道のインターチェンジに近い埼玉県嵐山町の大型パン工場で、
委託を受けたセブン&アイの自主企画(プライベートブランド=PB)商品
「金の食パン」のフル生産が続いている。
1斤250円と大手製パンメーカーの同クラス品より約90円高いが、
4月に一部地域で先行発売してから2週間の売上高は、目標を7割も上回った。

コンビニ各社は近年、
かつては低価格が売りだったPB商品の高品質化を競っており、
金の食パンの好調さは
「価格が高くても、おいしい物を食べたい人が増えている」
(鎌田靖セブン-イレブン・ジャパン常務執行役員)
ことを証明した形だ。

セブンは、品質にこだわった
「セブンゴールド」シリーズを食パンやハンバーグなど現在の19品目から、
15年度には300品目へと一気に拡大し、
主婦やシニア層の来店を増やす戦略を推し進める。
村田紀敏セブン&アイ・ホールディングス社長は
「『価格より質』の勝負で、一店ずつの質を高めることが
最終的な競争力につながる」と強調する。

セブンとローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は
12年度に計約3,200店を国内で新たに出店し
13年度も計約3,900店を計画するなど
過去最多の出店ペースを続ける。
セブンは前年度比で約11%増の1,500店の新規出店を計画
青森、沖縄、愛媛、高知、鳥取の5県が「空白県」だが、
集中出店による優位を見込めるまでは急がない構えだ。

ファミマの13年度の出店計画は
約7割増の1,500店で、半数以上を大都市圏以外の地方が占める。
中山勇社長は「従来は見合わせてきた地域へも出店し、
各県100店規模にする。
スケールメリットを拡大して全体的な収益の改善を急ぐ」と話す。

閉店分を差し引いた店舗数は
14年2月末に1万707店と1万店の大台を超える見通し。
実現に向けて新店開発担当を50人増の250人体制に拡充した。
大量出店を支える方策の一つが鉄道の駅売店のコンビニ化。
12年度の大阪市営地下鉄、東京・多摩都市モノレールなどに続き、
13年度は近畿日本鉄道と提携して70店舗を展開する。

さらに「新たな機能」の導入も進める。
その一つが薬局一体型店舗の本格展開
ヒグチ産業(大阪府東大阪市)などドラッグストア約10社と組み、
13~14年度に200店を計画する。

もっとも、新規店舗を除く売上高は伸び悩んでいる。
日本フランチャイズチェーン協会によると、
コンビニ10社の既存店売上高は
今年4月まで11カ月連続で前年同月の実績を割り込んだ。
たばこや雑誌の販売減少などが主な要因で、
新規オーナーを募る上でも既存店の収益力向上が急務となっている。

業界2位のローソンは
13年度の出店数を前年度より約1割少ない870店に抑え
比較的手薄な東北や四国、九州エリアへの展開を図るが、
新規出店以上に「客層拡大による既存店の収益強化」
(新浪剛史最高経営責任者=CEO)を重視する考えだ。

具体的には野菜や果物の品ぞろえを充実させた店舗を
13年度中に約8400店と3割増やし、
店内調理を強化することで
「デパ地下の品質をリーズナブルな価格で提供する」(新浪CEO)。

さらに全国で9カ所ある専用農場を20年度までに300カ所へ拡大し、
生鮮食料品を強化する。
減農薬野菜などを使った弁当や総菜、
カット野菜を店頭に並べ、
食の安全や健康への志向が強い客層を呼び込む戦略だ。
新浪CEOは
「『遠くのスーパーより近くのコンビニ』というコンセプトを大切にし、
過去に失敗したような拡大路線は繰り返さない」と強調する。

「総店舗が5万店を超え、チェーン間でつぶし合いが始まった」
(ファミマの中山社長)とされ、
経営環境は厳しさを増している。
スーパーやデパ地下の顧客を奪い取るだけの魅力を備えないと、
国内での成長は尻すぼみが避けられない。
店舗数の拡大だけに頼らない「差別化路線」の成否が、
コンビニ各社の浮沈を握ることになりそうだ。
(山沢義徳)

http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20130523504.htmlより

米国が日本の教育制度に言及

2013年06月03日 14時57分30秒 | SIUの授業
日本には「アイドル学科」が
大学の本質的問題をえぐった米報道の慧眼
*
2013年6月2日(日)16:33
*けい‐がん【慧眼】:
物事の本質を鋭く見抜く力

九州の福岡市に「西日本短期大学」という私立の短大があります。
1957年に設置されたこの短大、
日本のエンターテインメント界を席巻(せっけん)する
AKB48や、ももいろクローバーZといった
アイドルの人気に着目し、
2011年、アイドルやモデル、声優など、
芸能界で広く活躍する人材を送り出す
「メディア・プロモーション学科」(女子専科)新設したのです。

日本で唯一の学科とあって、
各メディアが取り上げるなど大きな話題となりましたが、
実際、政治学や法学といった一般常識を豊かにすることにもつながる
必修科目はもちろん、行儀作法やオーディションの合格対策、
効果的なメークやトークの方法、
さらに教室に設置したランウェイ(花道)をつかった
モデル・レッスンまであり、講義は本格的です。

短大側によると、今春、初の卒業生12人を送り出し、
うち5人が東京の芸能事務所に所属するなどして
本格的な芸能活動に入るといいます。

こうしたこの短大の取り組みを、
国際報道専門の米ニュースサイト、グローバル・ポストが
5月24日に報じているのですが、
その記事がなかなかに辛辣(しんらつ)です。
この短大などの挑戦的な取り組みは評価しているものの、
要は“少子高齢化で日本の大学は大変なことになっている”
という内容なのです。

世の中の本質というものは辛辣さのなかにこそ
存在するという一面もありまして、
日本の大学関係者はもちろん、
多くの方に“海外は日本の大学事情をこう見ているのだ”
ということを知っていただければと思い、
今回の本コラムはその内容をご紹介させていいだきます。

中韓に抜かれ…「アベノミクス」より急務、と警告

さて、記事ですが、こんな見出しです。
「My teacher, the J-pop idol
(私の先生はJ-POPのアイドルです)」。

記事ではまず、前述したこの学科の実際のカリキュラムなどについて紹介したあと、
この学科について
「(この短大の)牛嶋徳太朗教授(61)は、
入学者が減少する短大において、
より多くの学生を誘致するための方法を見つけたと考えている。
それがこの型破りな学科なのだ」と紹介。

さらに「カリキュラムは奇妙に聞こえるかもしれないが、
牛嶋教授は、これが大学の存続に必要なことなのだと主張する。
かつて(日本の)受験戦争は熾烈(しれつ)だったが、
今は少子高齢化で(各大学は)大打撃を受けている」と説明し
「多くの大学が入学者の確保に苦労している」との
牛嶋教授の声を紹介しています。

また「レッスンは大変だが、
私が求めているのはこうした専門的なトレーニングなのです。
だから伝統的な(普通の)大学には行かなかったのです」という
18歳の学生の声を紹介しながら、
こうした型破りな取り組みはこの短大だけでなく、
既にマンガの研究で学生に修士号や博士号の学位を与える
京都精華大学(京都市左京区)でも行われていると報道。

さらに、京都精華大では今春から、
ロック音楽やヒップホップ、ファッション・デザインなどが学べる
「ポピュラーカルチャー学部」も新設したと紹介し、
こうした両大学の現状打破のための前向きな挑戦を評価しています。

しかし、こうした挑戦に踏み切る大学が登場する理由として、
この記事では、いまの日本の大学を取り巻く
環境の悪化ぶり
をしっかり指摘します。

7帝大、早慶、関関同立も…学力低下「ゆとり」だが

まず「一部のエリート校を除く多くの大学が、
学生の誘致に苦労する状況は年々、激しくなっている。
(日本の)高等教育システムは
90年代~2000年代の経済停滞の犠牲となり、
少子高齢化がこれに拍車をかけた」と明言。

加えて「日本政府の統計によると、
昨年時点での18歳の人口は約120万人で、
91年の約200万人と比べると、ほぼ半減している。
しかし同じ期間、4年生大学の新入生の数は
50万人~60万人で推移している。
いくつかの大学は既に痛みを強いられている。
大学に通う世代の人口は95年、2000万人だったが、
これが2020年には700万人に減る
この状況を予想し、10校以上の大きな国公立大学が合併に踏み切った」と、
具体的な数字を挙げてその逆風ぶりを列挙しています。

それだけではありません。
記事では、日本の学者たちが、
これまで高い成果を上げてきた日本の教育水準の低下や、
学生自体の学力低下を警告していると報じています。

確かに、18歳の人口が減るということは、
簡単に言えばどの大学も志願者の数が減るということで、
単純に考えればどの大学も昔より合格しやすくなっているはずです。

ところが記事では
学生たちは入試に合格するための十分な学力を有していない
そのためか、多くの大学では入試のうちの一部のテストを免除しており、
その傾向は強まっている」との
日本の大学関係者の厳しい声を紹介しています。

教育も「失われた20年」

しかしこの関係者は、
西日本短期大学や京都精華大学の取り組みに関しては
学術とみなされるフィールドは常に進化しているので、
ポップカルチャーなどを(カリキュラムに加えて)
教えるという傾向は悪いことではない」と評価しています。

そして記事では、日本政府の対応にも疑問を呈しています。
「若い世代の人口減少が顕著化し始めた90年代初頭、
政府は大学間が互いに競争しあうよう、
教育産業の規制を緩和し、
丸暗記という古いスタイルから、
新たな教育システムへの移行を試みた」と説明。

しかし「安倍晋三首相は今年1月(こうした問題への対処ではなく)、
景気を刺激するための経済政策「アベノミクス」を発表した。
(「アベノミクス」への)懐疑論者は(少子高齢化という)
人口統計学上の不均衡などの問題(の解決の重要性)を
指摘している」と指摘しています。

とはいえ「日本は依然として
世界有数の多くの高等教育機関を有している。
東京大学は2012年~13年時点では
アジアの大学ランキングで1位で、
世界の大学ランキングでは27位である」とも。

しかし「専門家は、一部のエリート校を除く
大多数の大学の質の低下が顕著になっている点を指摘、
政府もそうした状況に対応しようとせず、
韓国や中国など他のアジア諸国に追いつかれようとしている」と
結んでいます。

アイドルを育成する学科のように、エンタメの力で
厳しい現状を打破しようとする教育現場での取り組みのお話が、
日本の少子高齢化問題にまで発展した訳ですが、
記者もこの記事が訴えていることに賛成です。
「アベノミクス」もいいですが、
やはり以前の本コラムでも何度か書かせていただいているように、
日本が抱える最大の問題は「人口統計学上の不均衡」
つまり、この記事が具体的な数字を挙げて
その異常ぶりを説明している少子高齢化であり、
これを解決しない限り、
長期的に好景気を維持することは不可能だと思います。
(岡田敏一)

【プロフィル】
岡田敏一(おかだ・としかず) 
1988年入社。
社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、
東京文化部などを経て現在、
編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当。
ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。

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http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20130602526.htmlより