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これからの雇用慣行

2013年06月26日 22時28分37秒 | キャリア支援
いまなぜ解雇規制の緩和なのか
その背景&論点を整理する

ダイヤモンド・オンライン
6月15日(土)7時0分配信


写真:イメージです

ダイヤモンド・オンラインでは今回から、
装いも新たにシリーズ連載「日本のアジェンダ」をスタートする。
このシリーズでは、いまの日本の経済、政治、社会が直面している
旬のテーマを取り上げ、
各分野の専門家に賛成・反対の立場から
記事や論考を寄せていただき、議論を深めていく。
各テーマの初回は読者が議論を理解しやすいように、
編集部が論点を整理する。
テーマ1は「解雇規制の緩和」の問題だ。

● なぜ解雇規制の緩和なのか

現在、日本の労働市場では多くの人が、正社員として働くか、
非正規社員として働くかの二者択一を迫られている。
そうしたなか安倍政権は、日本の成長戦略と新しい雇用のあり方を考える上で、
「成熟産業から成長産業への“失業なき労働移動”」と
「(勤務地、時間、職種などを限定した)多様な正社員モデルの確立」を打ち出した。
その目標自体には賛同する人も多いが、
それを実現する方法論をめぐっては、様々な議論が巻き起こっている。
その代表が、「解雇規制の緩和」だろう。

6月14日に閣議決定される中で作成される成長戦略には、
盛り込まれない方針となったものの、
大企業を中心とした経営者の多くには
解雇規制緩和指向が今も根底に残る。
なぜいま雇用制度改革が争点となっているのか。
また、解雇規制の緩和を行えば、日本経済は再び成長し、
私たち労働者が働きやすい国になるのだろうか。

● 「解雇規制」が注目される背景

現在、正社員と非正規社員は、それぞれ3、281万人と1、870万人
(総務省統計局『労働力調査』2013年1~3月期平均)。
労働者に占める非正規社員の割合は36.3%で、
3人に1人以上が非正規社員として働いていることになる。
その正社員と非正規社員の平均賃金(年収)を比べると、
正社員が317万円に対し、それ以外では196.4万円と、
大きな格差がある(厚生労働省「平成24年賃金構造基本統計調査」)。

「正社員」とは仕事内容を限定しない、
期間の定めのない雇用契約で働いている社員、
「非正規社員」は仕事内容を限定した契約社員や、
パートタイマー・アルバイト・派遣社員などのように
期間を定めた雇用契約で働いている社員を指す。
言い換えれば、安定的な雇用と相対的な高賃金を代償に、
転勤・残業もいとわない無限定な労働を強いられるのが正社員で、
正社員ほど無限定な労働は強いられないものの、
雇用は不安定で賃金は低いというのが非正規社員と言えるだろう。

非正規社員は一般的には正社員よりも短い時間で働くことが多い一方で、
待遇面で正社員と大きな格差がある。
例えば、給与が少ない(退職金、ボーナスがない)、
雇用が不安定、キャリアアップがしづらい、といった点だ。

バブル崩壊直後の1992年の非正規社員数は、
958万人で現在の半分程度。
一方の正社員は3705万人と、今より500万人も多かった。
あれから20年。なぜ正社員がこれほど減少し、
非正規社員が倍増したのか。
それは、バブル崩壊後の低経済成長期において、
企業が不況期を見据えて、
解雇がしやすい非正規社員を雇用の“調整弁”として活用した点が大きい。
正社員は解雇規制が厳しく、雇用調整が難しかったからだ。

もともと非正規雇用は、主婦や学生などを主な担い手とする
パートやアルバイトのように、
世帯を支える正社員の働き手(一般的には成年男子)がいて、
補助として収入を得る働き方の1つとして認知されてきた働き方だ。
しかし、今では「正社員として働けない、
就職できないから非正規をやむなく選ぶ」という若者が激増し、
深刻な“若者の就職難”は社会問題化している。

しかも一度、非正規社員になれば、
再び正社員として働くことは難しい。
したがって、出産や子育てによって時間的に制約される女性が、
「正社員」をあきらめるか、出産をあきらめざるを得ないケースは非常に多い。
こうした現象が起きるのは、日本の労働市場には大きく、
正社員と非正規社員という
2つの働き方しか用意されていないためだろう。

では、低成長時代において、多くの人の雇用を確保しつつ、
各々が自分のライフスタイルにあった働き方のできる社会にするには、
どうすればよいのか。
そこで安倍政権が雇用改革として打ち出したのが、
「成熟産業から成長産業への“失業なき労働移動”」と
「“多様な正社員”モデルの確立」である。

● 論点1.「金銭で解雇」を可能にしてよいか

では、安倍政権の掲げる「成熟産業から成長産業への
“失業なき労働移動”」を実現するには、
何から始めればよいか。
そこで出てくるのが、「労働市場の流動化」。
要は、解雇規制が厳しいため、
成熟・衰産業から成長産業への労働移動が進まないという問題意識だ。
その際、論点の1つ目となるのが、
「金銭によって解雇を可能にする仕組みを
ルール化するかどうか」だ。

経済同友会の長谷川閑史代表幹事が
3月15日の政府の産業競争力会議において、
解雇を原則自由にするよう労働契約法の改正、
再就職支援金の創設を提案した。
その背景にあるのが、現行の解雇ルールがあいまい、
かつ経営側には厳しいという問題意識である。

現在、日本には正社員の解雇を規制する「解雇規制」がある。
労働契約法第16条では
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められている。
また、判例によって
「合理的かつ論理的な理由が存在しなければ解雇できない」
という解雇権濫用の法理が確立され、
「整理解雇の4要件」
(?人員整理の必要性、?解雇回避努力義務の履行、?対象者の人選の合理性、?手続きの妥当性)から、
その妥当性が判断されることになっている。

この要件を証明する手続きは非常に煩雑で、
時間がかかるだけでなく、この法律の下では、
「合理的な理由かどうか」が司法判断に委ねられ、
裁判となった場合には最終的に金銭解決ができない
(裁判で解雇無効になると現職復帰しか方法がない)。
それでは、企業の側は結果を予測することが非常に難しいため、
最終的に裁判で解雇無効の判決が出た場合に、
金銭解雇できることをルールとして明確にすべきであるというのが、
産業競争力会議での意見だ。

解雇規制の緩和を主張する識者などからは、
正社員が解雇しやすくなれば、終身雇用・年功序列といった日本型雇用慣行が崩壊し、
これまであおりを受けてきた若者、女性、
非正規社員の雇用が改善するという賛成意見が挙がっている。

その一方で、解雇規制の緩和に反対する識者からは、
失業者が増えるだけで雇用が不安定化する、
雇用が短期化するという懸念も噴出している。

● 論点2.「多様な正社員」制度をつくる

こうした解雇規制の緩和を主張する側、反対派ともに、
日本人の働き方を見直すうえで「多様な正社員」の重要性を訴えている。
これは、具体的には「ジョブ型社員」あるいは「限定社員」といわれるもので、
正社員と同様に、無期労働契約を結びながら職種、
勤務地、労働時間等が限定的な働き方である。

一度、非正規社員になってしまったら、
なかなか正社員になれない、戻れない。
そんな現状から、非正規社員の働き方に希望を見いだせない若者や、
出産・子育て等で追い詰められる女性社員は少なくない。
そこで、今、政府内でも検討が進められているのが
現状の正社員でも非正規社員でもない中間的な雇用形態の
「ジョブ型社員」、「限定社員」だ。

もし実現すれば、非正規社員にとっては正社員転換の機会に、
正社員にとってはワーク・ライフ・バランス実現の方策となり、
1人1人が満足する働き方を選択できる可能性が高まる。
また、企業側は、地域や職種、労働時間を限定して採用した場合、
その仕事がなくなれば解雇できるという契約も結べるため、
解雇しづらいリスクを恐れずに人を雇うことができるようになる。

一方、「ジョブ型社員」、「限定社員」には批判も広がっている。
なぜなら、職種や勤務地、労働時間を限定するので、
この条件が満たされなくなれば解雇ができる、
つまり「解雇しやすい正社員」をつくることにならないかということだ。

● 「解雇規制緩和」は必要か、否か

成熟産業から成長産業へ労働力を移動させ、
個々人が自分のライフスタイルに合った働き方ができるように
雇用制度を改革する。
この目的に異論を唱える人は、ほとんどいないだろう。
問題は、その実現に当たって、
解雇規制の緩和に効果があるかどうかだ。

だが、政府は参院選を意識してか、最も大きなこの問題を正面から取り上げず、
金銭による解雇、限定社員という個別論から入ろうとしている。
大きな方向性の議論を避けて、個別論を行えば、
議論は錯綜してしまう恐れがある。

雇用制度改革に向けて最も大きなカギとなるのは、
「解雇規制の緩和」を進めるかどうかである。
そこで、本アジェンダでは、解雇規制を
(1)緩和すべき、(2)緩和すべきでない、
との立場をご登場願う専門家に明らかにしていただいたうえで、
次回以降、雇用制度改革議論を展開していく。

 (ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130615-00037283-diamond-bus_allより

東京チカラめし、失速

2013年06月26日 00時06分34秒 | 学習支援・研究
東京チカラめしへの逆風 
出店ペース鈍化、大幅減益
御三家の包囲網でブームに陰り?

Business Journal
2013/6/15 07:40
福井晋/フリーライター

牛丼業界の「第三極」「台風」とも言われるほどの勢いを見せていた
「東京チカラめし」も、ここへきて
業績の低迷が見られるようになってきた。


「東京チカラめし」の外観
[拡大]

チカラめしは「彗星のごとく出現した、
牛丼業界のニューフェース」(外食業界関係者)として、
11年6月に池袋に1号店を開業以来、
首都圏の主要駅を中心にしたドミナント(集中)出店で
12年9月に早くも100店出店を達成。
多い月は15店も出店するなど、
業界参入からわずか1年3カ月の急拡大ぶりだった。

牛丼と言えば牛肉を鍋で煮る牛丼が常識の牛丼市場で、
牛肉をオーブンで焼く「焼き牛丼」で差別化を図ったのが特徴。
タレで味付けした焼き肉を丼めしに盛ったボリューム感が、
ガッツリ食べたい学生や若いサラリーマンに受け、
瞬く間に人気牛丼チェーンになった。

12年8月からはFC(フランチャイズ)加盟店募集も開始。
チカラめしを展開する三光マーケティングフーズは
「14年中に直営とFC合わせて500店を目指す」との積極姿勢を見せていた。
しかし、それも束の間、
昨秋から出店ペースは急速に鈍り、9月の新規出店は3店、
10月も4店と減速し、13年6月1日現在の店舗数は、
首都圏、群馬県、大阪府、兵庫県に、
合わせて132店にとどまっている。

出店ペースの減速とともに、
三光はメディアに出店の中期目標をPRしなくなった。
そして減速と軌を一にするかのように、
三光の業績も低迷している。

同社が今年5月10日に発表した
13年6月期第3四半期決算(12年7月-13年3月の9カ月累計)によると、
売上高は前期比1.9%増の196億円を確保したが、
営業利益は同89.1%減の1.8億円と大幅な減益に沈んだ。
最終損益に至っては1.5億円の赤字だった。

同社はこの決算期間中、チカラめしを53店新規出店する一方で、
早くも既存店が16店も不採算になり閉鎖、
純増は37店にとどまっている。
チェーン拡大ペースが急速に鈍ったのもうなずける。

同社は通期の業績予想も、すでに2度も下方修正している。
第3四半期決算と同時に発表した2度目の通期下方修正では、
売上高が前期比0.4%増の260億円、
営業利益が同97.7%減の0.4億円、
最終損益が5.7億円の赤字となっている。

同社はこの業績予想について
「主力の居酒屋事業の売上低迷、
東京チカラめし事業の新規出店計画未達、
食材の価格高止まりなどが原因」と説明している。

だが、業界関係者は
「売上高の8割程度を占める『金の蔵Jr.』など
居酒屋の業績不振に効果的な手を打てなかったのに加え、
デビュー当初は出店ラッシュを様子見していた牛丼御三家が、
昨秋辺りから本格的な『チカラめし包囲網』を敷いたのが、
業績低迷の真因」と見ている。

つまり、チカラめしに限って言えば、
すき家、吉野家、松屋の牛丼3強(牛丼御三家)が揃って
“チカラめし潰し”にかかってきたというわけだ。

●迫る御三家のチカラめし包囲網

そもそも、三光が牛丼事業に参入したのは
「本業の居酒屋不振を立て直せず、
その不振をカバーするのが目的だった」(同)と言われている。

1975年に個人営業の定食屋からスタートし、
91年に開業した個室型居酒屋「東方見聞録」のヒットで
居酒屋チェーンを拡大し、同社は成長してきた。
09年に開業した全品270円均一の「金の蔵Jr.」は
「低価格居酒屋ブーム」を巻き起こし、
居酒屋業界の麒麟児と言われた。

ところが低価格居酒屋ブームは長続きせず、
11年に入ると「ブームは終わった」と
居酒屋業界で言われるようになった。
同社の営業利益も、10年6月期をピークに減少に向かっている。

そこで前述の牛丼事業参入になるのだが、
今のところ「なぜ牛丼だったのか?」は詳らかではない。
ただ、チカラめしがまだ昇竜の勢いにあった
昨春頃のメディアの取材に対して、
同社の平林実社長が「居酒屋は日常の息抜きの場として
たまに利用されるだけだが、ファストフードは日常生活の一部であり、
ガスや水道並みのインフラになっている。
まだまだ伸び代がある。
特に牛丼市場は大手がたったの3社。
そもそも30年にわたって新規参入がなかったのが異常。
牛丼市場には大きなチャンスが広がっている」と語っている。
つまりは「ラーメンと並ぶ国民食」と言われる牛丼の、
市場の奥深さに魅入られたのかもしれない。

そして「後発が先発と同じ土俵で勝負すれば負けるのが当然。
だからニューアイテム(焼き牛丼)で先発と勝負した」
(平林社長)と語っている。

こうした平林社長のチャレンジに共感したのか、
チカラめしの失速が見え始めた今春まで、
メディアの「チカラめし礼賛」は続いた。

例えば、12年12月4日付「NEWポストセブン」は昨年12月、
「チカラめしは売上高、店舗数共すでに業界5位の神戸らんぷ亭を抜き、
4年以内の1000店に向かって驀進している。
今の勢いが続けば4位のなか卯も抜き去り、
業界の第三極に躍り出てくる可能性が十分ある」と報じた。

こうした報道の追い風などもあったためか、
三光の平林隆広専務は今年2月9日付「日本経済新聞(電子版)」の取材に対して
「14年6月期に牛丼が居酒屋を抜いて当社の主力事業になる。
今期も100店出店する」とチカラめしの急成長に胸を張っていた。

ところが、その足元で御三家の
「チカラめし包囲網」の輪が縮まっていた。

御三家のチカラめし包囲網は、御三家の「プレミアム丼戦争」というかたちで始まった。
そしてプレミアム丼戦争の直接的な動機は、
安売り競争からの脱却だった。

●煮る牛丼で御三家へ対抗

まず、松屋が12年8月に「焼き牛めし」(380円)を発売、
次いで吉野家が同年9月に「牛焼肉丼」(480円)を発売、
最後にすき家が同年10月に
「豚かばやき丼」(630円)発売というかたちで、
御三家の「焼き肉丼」が揃い踏みした。

いずれも定番の「煮る牛丼」と比べ、価格を高めに設定、
「煮る牛丼で得られない味と食べ応えで、
値段の底上げを図っている」(業界関係者)のが共通。
プレミアム丼と言われるゆえんでもある。

プレミアム丼戦争が勃発した背景について、
エコノミストの一人は
「御三家の安売り競争が行き詰まる一方で、
食傷感のある『煮る牛丼』より少々高めでも
『おいしい牛丼』を食べたいという消費者層が出てきた。
この新しい消費者層に活路を見いだした御三家が、
相次いで『焼き肉丼』を投入したのが要因。
当時、人気上昇中のチカラめしに触発されたのは言うまでもない」と
分析している。
そして「プレミアム丼戦争が、
結果的にチカラめし包囲網の形成につながった」(同)という。

こうして御三家に「牛丼市場の大きなチャンス」を阻まれた三光は、
今度は「煮る牛丼」に参入した。

今年3月に出店した新丸子店(川崎市)で煮る牛丼を発売したのを手始めに、
5月末現在、9店で煮る牛丼を販売している。
3~5月の間に新規出店したチカラめし11店中、
9店が煮る牛丼店になっている。

同社は「あくまで実験的な取り組み」と説明しているが、
前出エコノミストは
「御三家に行く手を阻まれ、
焼き牛丼から消費者層の多い煮る牛丼への方向転換を
図っているのは明らか」と言う。

一方、業界関係者は次のように分析する。

「焼き牛丼より調理が簡単で、
パートの訓練期間を短縮できる。
厨房の設備投資も軽い。
客回転率の高い煮る牛丼へシフトすることで、
業績回復を図ろうとしている。
よほど資金繰りが苦しいのだろう。
だが、これではチカラめしの差別化要素がなくなり、
御三家とガチンコの低価格競争に引きずり込まれるだけ。
『御三家と同じ土俵で勝負すれば負ける』との自戒は
何だったのか」

周囲から無謀と言われた
「居酒屋から牛丼への転換」の行方に注目が集まっている。


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最終更新日:2013/6/15 07:40

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