子供の頃に見たモミジは、
胸の奥が締め付けられる、燃え立つような「紅」だった。
苔の生した巨木で、そびえる黒い崖の上から覆いかぶさり、
真下から雲一つない空を透かして見上げた枝葉は、
手には届かなくとも、その瞬間だけ間違いなく私のものだった。
その後、何処へ行こうとも、
どのような紅葉を見ようも、私の心は動かなかった。
あの衝撃を、あの感動を、二度と味わうことはなかった。
胸の奥が締め付けられる、燃え立つような「紅」だった。
苔の生した巨木で、そびえる黒い崖の上から覆いかぶさり、
真下から雲一つない空を透かして見上げた枝葉は、
手には届かなくとも、その瞬間だけ間違いなく私のものだった。
その後、何処へ行こうとも、
どのような紅葉を見ようも、私の心は動かなかった。
あの衝撃を、あの感動を、二度と味わうことはなかった。