7/23~7/24 ☂/☁ ガス・風強し
明星ヶ岳:カナビキ尾根~楊枝ノ宿小屋まで往復
七日迷からの続きです
行けども 行けども
先の見えない白い闇に延びる道を歩いて
目の前に見える踏み跡を確認して進むと
途中…道が消えた
消えた…?というより
その周辺に残る微かな踏み跡が
四方八方に向いている…
だが その先に道は見当たらない
急な斜面が白い闇の底に落ちているだけ…
一旦引き返し 小さな分岐の道で
地図を確認する…
ここから行ったり来たりの動きになる
今度は上方向へ
稜線の方向に延びる道を進めば
倒木が通せんぼ!
その先には バイケイソウの群生が広がり
道は無い…?
見えない…
地図を再度確認するが 行く方向は
ここなのだが…?
チチがまた地図を確認している間に
野生の勘が働きだした私が
倒木に向こうに広がるバイケイソウの群生地を
割るように入って道を探してみる
懐に飛び込むと
見えないものが見える事がある…
まさにその通りだった
ちち~ 道があったよ~
あったか~♪
あった!あった!
薄いが踏み跡はすぐに見つかった
チチに知らせるようと声を上げると
チチはすでに地図をなおして
こちらに向かっていた
バケイソウの中でチチがウロウロ
バイケイソウの群れの中道を一旦下って
再び登って稜線を歩くと
石標?墓石のような石が草に囲まれて見えた
第46靡 船の多和
石標の表面は削れ刻字が消えかかって
よく読めない…
よくよく見てみると舟の???とある
何か彫ってある…舟の??
チチに聞こえるように言うと
舟と書いているか?
何かを探していたチチが
確認するように訪ねてきた
舟だけはハッキリと読めるよ…
そうか ここが舟の多和だ!
舟…?と書かれた石標
チチはそれを探してしていたのか…
今まで無言だった父の声に
何か期待感が含まれたような張があった
ここから 楊枝の宿は近い…と
チチは思っていたらしい
チチの思うところは近いのか…否か…
取りあえず進まねば分からない…
さっさとバイケイソウの中に消えていくチチ
慌てて チチの後を追う…
しかし 甘んじて辿り着けるものではない事を
度々 味わわせられるようだ…
ここからは
バイケイソウの洗礼が待ち受けていた
バイケイソウのあの芳香…
漂うその特徴的な臭いに
目がくらくら…
気分が悪くなってくる
それはチチとて同じだったよう…
しばらく…
バイケイソウはご遠慮したくなった…
踏み跡の道を辿り後を追う…
七日迷い辺りから 舟の多和に辿り着き
その先は 更に二重稜線となって
その底部には バイケイソウが蔓延り
ともすれば 道が分かり難い!
ガスの中では心して歩く必要があった
このあたりを迷い平というらしいが
今回はガスに包まれ 周囲の状況を確認するには
難しいものがあり 帰ってから確認をして知る事になる
抜けても 抜けても 続く
バイケイソウの園?地獄?
そこは まやかしの園のようだった…
鬱蒼と茂ったバイケイソウの下に道が隠れ
バイケイソウの匂いが辺り一面漂い
人を惑わせる…
踏み跡があり 道を外さなければよし…
踏み跡を見逃すと 迷い道になる
季節を間違えると難易度が上がるのか…
バイケイソウの中を泳ぐように藻掻き
抜けようと必死になる
登山道の標識に ホッ♪
再びバイケイソウが阻む!
バイケイソウの匂いで気分が悪くなりそう…
そんな時 開けた感じでバイケイソウがまばらに!
バイケイソウの海を泳ぎ切った…?
ガスの中に浮かぶ1本の大木が目に飛び込む
まるで救いの目印の様に立つシラビソを目指して
進むと…稜線上の所で…
チチの足が止まった
ここにも…あった
何かを撮っているチチ…?
七面山揺拝石
年数の立った御札が置かれてその中央に
ポツンと拝石が無言で立っていた
修験者たちがここで祈る姿を想像しつつ
私もまた 無言で会釈をして通り過ぎる
振り返って拝石を望む
石標 楊枝の宿まで0.7Km
もう1Kを切った…急ごう…
七面山揺拝石から1分ほど先に
今度は ポツンと石標!
そこには 目指す今日の泊地
楊枝の宿まで0.7kmと書かれてあった
漸く先が見えたと思ったが
時間は16時を過ぎていた…
楊枝の森へと足を進めて
もうすぐ
もうすぐと言い聞かせながら
チチの後を追う…
再びバイケイソウを泳ぐ
抜けたと思ったらトラバース
楊枝の森を巻くように進む
行けども行けども続く道は変わりなく
復路でも同じ距離 同じ道を歩かねばならない
内心…目的の場所に辿り着く前から
この道を復路で使うなんて…嫌だ~!
そんな感情が湧いてきて
歩く気力に水を差しだし
余計に足が重かった…
トラバースは足元注意!
道が再び延びていく…感じ
どこまで続くのか楊枝の森
道は 先を示さず続くだけ…
夕暮れの焦燥感が増すばかり…
悲壮感と共に心のなかで
明日は別のルートで下山し
近くまで娘に迎えに来てもらって…
密かに明日の復路について
変更計画を立てはじめていた…私
疲れ果てたコロナ太りした体と気力
持って動くだけでも重い…
明日の心配をしつつ
自身の体力の無さを理由に
明日のルート変更をどうしたらしてもらえるか
考えながら ただただ
無言で足を前に運ぶだけだった…
再び ぽつんと石標
楊枝宿避難小屋あと6分
あと6分で着くぞ!
チチの声に目を上げると
古びたプレートに書かれた文字が・・・
チチはあと6分と感じてホッとしたようだ・・・が
私は まだ6分も歩かねばならぬ・・・と感じた
果てしなく続く白い闇への道
無情の世界が広がり
白い闇に包まれたまま
笹原の尾根は消えていく
風が体当たりして来て
身体も心も揺れる
あと6分…って もう過ぎた…
時計の針を見て チン…
標識の嘘つき…!
果てしない笹尾根
なぜに急な登りに…
登っては激下り…なぜ?
これが原因か!
楊枝の宿へもうすぐというところで
崩壊して道を巻かなければならなかった
6分過ぎても着かないはずだ…
高巻きの部分は計算に入っていない
急登の急下り 道は荒れて注意が必要!
ここに来て この試練を与えられるとは…
奥駈道の為せる業なのか
修行の一環なのか…
それにはさすがに霹靂する気持ち…
もう いいよ
ボソっと呟いた時だった
チチの声がした
下を見て何か言ってる!
おっ!あっ!
チチがどんどん下る
もう一度確認!あぁ~♪
これ以上歩くのはしんどい・・・
そう考えていた時に見えた!
楊枝の宿(第44靡)
小屋に着いた!
なだれ込むように小屋に入ると
そのまま数分 意識を失った…
その間にチチは水を汲みに行ったよう…
気が付いて 落ち着いた頃
もう一度小屋に着いた時点をやり直す私
小屋の入口
小屋の入口の正面に書かれた注意書き!
もっと大きく書いてもいいのでは?
マナーは守らねば…ですね
数分休んだ分 急に落ち着きを取り戻し
チチがいない事に 今度は不安を覚える
水汲みって…30分以上もかかる?
探しに行こうと思った時
チチが帰って来た
小屋の裏側から水場に行けるのだが
水がちょろちょろしか出ておらず
3リットルの水を満タンにするのに
かなり時間が掛かったらしい・・・
そうか… そんなに大変で
その間私は気を失っていたのか…
苦笑いするほかなかった…
ゴメンなさい チチ・・・
綺麗にされている小屋の中
今夜の客は 我が家だけのよう…
本当は小屋の裏にテント場スペースがあるのだが
テントは張らずに 小屋を利用することにした…
これは疲れた身体には
朗報の様に助かる事だった
テント設営と撤収の作業がなく
快適に使える小屋の中
今宵はゆっくりと休めそうだ
コーヒーを味わい
食事をゆっくりとして
シュラフに入ってすぐに
深い眠りへと堕ちていった
つづく
ちなみに 水場は…
小屋の左横を通って
裏のテントが張れるスペースがあり
その裏から樹林帯を下っていく
入口左横壁に表示!
裏の樹林帯を下っていく
水の看板あり
水場
チチ曰く…
水はちょろちょろ
砂交じり…
時間がかなりかかる…
こんばんは
何とか辿り着いた小屋でのコーヒーは格別でしたよ
本当に奥駈道は色々な顔を見せてくれます
こんな 恥ずかしげもなくそのまま書いているブログを
一緒に共感して読んで頂けることに感謝いたします
ありがとうございます
Misa様…病み上がりとは…体調は如何ですか
かくいう私も 持病をいくつか持って
中々体調を調整するのが難しいのですが
不思議と山で精気を頂き続ける事が出来ております
少しずつ お体がもとに戻ると良いですね
奥多摩ですか…いい所ですよね
大峯山にも似て 奥深い…一度訪れたいところです
行かれるようになることを祈っております
コメントをありがとうございます
わたしもドキドキしながら読ませていただきました。小屋でのコーヒーは格別だったのではないでしょうか?『…あ~そうだそうだ、こんな感じ。』文章、心の中の声、つぶやきに心がぴったり沿います。病み上がりで山から少し遠ざかっています、が、霧蒸した、ドキドキする、むさ苦しい山歩き、山に戻りないなぁ~と思わせて頂きました。来週末は奥多摩か、丹沢か。。。ありがとうございました。
ご訪問頂きとても嬉しいです ありがとうございます
楊枝の宿に行かれたことがおありなのですね
距離があるのに 水場が少なく ついてみれば
チョロチョロ…でも あるだけでも助かりますね
道が分かり難い所もあり ガスッていると
どうしても気が許せないですね
matsunoridaさんの仰る通り
何もない奥駈道での宿は
救いです 奥駈道は自然豊かですが
本当に何もありませんから(笑)
コメントありがとうございます
これからも宜しくお願い致します
初めまして。いつもハラハラドキドキ読ませていただいています!
ボクも数年前に歩きましたが、楊枝宿まで少し急な下り調子だったと思います。 疲れた体を引きずって、水場までも少し下ってチョロチョロだった記憶があります。
ガスっているコンディションならかなりお疲れになったのではないでしょうか。^^; それにしても何もない奥駈道での宿は、本当に安心させられるものですよね!
続きも期待しています!