こういう映画がいい。ほっとする。
せわしない毎日だ、
世の流れについていく意識はないがいつの間にか疲弊してる。
映画を観れば、殺人、犯罪、セックス、差別、裏切り、イジメ等々、
神経が疲れているのだろうか。
どうも「シビル ウォー」を観てから、心身が穏やかでないような気がする。
頭から身体から不純物、狭雑物を排出して、すっきりしたい。ヨガがいいのか断食がいいのか。
そんな思いでいたときに出会った作品だ。
イタリアの風光明媚な丘の上で小さな古書店を営む主人と、アフリカ移民の少年との交流を描いた小さなお話。
店内を見ている移民の少年エシオンに、リベロ爺さんが店に招き入れる。
店頭の安売りマンガすら買えないエシエンにリベロは売り物を貸す。もちろん無料だ。まずはコミックから始める。
エシエンは読むのが速く、毎日のようにリベロの許に通う。コミックから「ピノキオの冒険」「白鯨」「白い牙」…。エシオンは賢いとリベロは感じている。感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考え方など、リベロは叡智を授けていく。
隣りのカフェ店員ニコラはリベロがちょうどいい話相手、しょっちゅう話をしにくる。家政婦のキアラに恋しているらしい。ニコラの心優しさがいい。
古書店には色んなひとが立寄る。
ネオナチかぶれ、SMマニアの女、初版本のコレクター、散逸してしまった自身の著作を探し求める作家等。リベロは相当な知識人で
その名の通りの自由な人を反映して、収集本はジャンルを超えて多岐に及ぶ。
リベロ爺さんの名前、イタリア語で「自由(Libero)」を意味する。リベロは、自身の名の通り、エシエンに自由であること、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていく。
繰り返される日々の暮らし、何も特別なことは起きない。エシオンがだんだん難しく厚手の本にチャレンジして成長していく姿、ニコラの想いが通じ始めるなど、日常的な小さな幸せを描いている。
それが僕らの心に染みわたってくる。
(2023.3.3公開)
監督
クラウディア ロッシ マツシミ
キャスト
リベロ レモ・ジローネ。
ニコラ コッラード フォルトゥーナ
エシエン ディディー・ローレンツ・チュンブ
ロケ地
イタリアの最も美しい村のひとつと言われている、チヴィテッラ・デル・トロント。