9月27日の経済情報サイト「DIAMOND online」では、ほぼ日代表取締役でクリエーターの糸井重里氏とデザイナーの佐宗邦威との対談を掲載しています。(「遅刻しない人が『遅刻した人』を責めない会社をつくりたい」2023.9.27)
お題は、社員それぞれが個として「自律」していながら、同時に群れをバラバラに崩壊させない「渡り鳥の群れ」のような会社をつくるにはどうすればいいのか?…というもの。
この対談で糸井氏は、「例えば、遅刻しない人が『遅刻した人』を責めない会社をつくりたい」と話しています。会社の中で「遅刻をしない人」が「遅刻をする人」を責めていたりするのを見ると、(いつも)「それはちょっとちがうんじゃないか…」と思うと、氏はこの対談で指摘しています。もちろん、「あいつ、こちらに攻撃を仕掛けてきます」って人だとOKとは言えないけど、「あいつ、もう、しょうがないね(笑)」って言っていられる人ならまあOKなくらいに、とにかくハードルを下げるほうがいいと思っているということです。
ルールを守ることは、その気になれば誰にでもできる。そして、ルールを守っていない人を発見することも、実は誰にでもできることだと氏はしています。それなのに、なぜだか厳しく指摘をしないではいられない人がいる。しかし、こういうことをどんどん進めても「ルールを守れる会社」ができ上がるだけだというのが氏の見解です。
でも、そうした会社は何も稼ぎ出さないし、いても楽しくもなんともない。(少なくとも)僕は、自分の会社をそういうふうにはしたくないと氏は言います。これは自己と非自己の問題、つまり内部と外部の問題であり、人も組織も、デメリットや被害があるかもしれないことまで含めて、寛容であることが大事だと思うようになったということです。
さて、「遅刻」と言えばもう一つ。9月10日に放送されたABEMA「Abema Prime」(月~金曜後9・00)で、生出演した実業家の西村博之(ひろゆき)氏が、「…ていうか僕、遅刻に怒る人って能力値が低いと思ってるんですよ」と話したことが各ネットメディアで報じられていました。
曰く、「優秀な人って忙しいじゃないですか。いろんな案件が飛び込んできたり、予定の時間がズレたりするから、遅刻やリスケが多くて当然。でも優秀じゃない人ってヒマなんで、なぜかアポの30分前に来て「お茶飲んでます」とか言うんですよ。」とのこと。
ひろゆき氏によれば、「人間が怒るって、珍しいものを見たときに怒るんです。当たり前のようにあることには誰も怒らないので。だから、人の遅刻に怒ってる人って、忙しい人と仕事をしたことがない可能性が高い。つまり優秀じゃないって判断できる。いいアンテナになるんですよ。」とのこと。
なぜなら、「(確かに)遅刻をしないから」とか「勤勉そうだから」で仕事がもらえる人もいるとは思うんですけど、そこを頑張っててもあんまり意味ないです。考えてみてほしいんですけど、『遅れずにピザ届けます』っていう人に払われる時給って限界があるけど、『ちょっと焼くのに時間かかりますけど、めちゃくちゃうまいピザをつくれます』っていう職人がいたら行列ができますよね。」という話だからだということです。
こうした文脈の中でひろゆき氏は、「『時間』とか『勤勉さ』で評価されようとするのは、あんまりオススメしません。」と話しています。そのココロは、「(それは)誰でもできることなんで、そこを追求しても給料は上がらない。」というもの。毎日、(人様に迷惑をかけず)勤勉に過ごすことだけに労力を使っても、そういう人に物の価値は生み出すことはできないということなのでしょう。
まあ、時間を守らない(守れない)遅刻常習者として知られるひろゆき氏のこと。そうした自分への自己弁護もあっての話なのでしょうが、みんなが定時に出勤し、朝礼やらラジオ体操やらで始業時間が始まるような仕事のスタイルは、(確かに)もはや過去のものと言っても良いのかもしれません。
新型コロナの影響もあり、国内企業でもフレックスタイムの導入やテレワークなどを中心とした在宅勤務が大きく普及する中、従来型の「勤勉」の二文字の持つ価値は、大きく、そして急激に下がっていると言っても良いでしょう。
そういえば、大学を卒業し社会人になったばかりの頃、周囲の先輩たちが出勤時間や昼休みの時間、退勤時間などに(例えば上司に「飲んだ次の日の朝は1分でも遅れてはだめだ」と説教されたりとか)なぜにこれほどまで細かいのかと驚いたのを、今さながら(ふと)思い出した次第です。
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