MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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♯672 昭和の男とピアノお嬢さん

2016年12月06日 | 社会・経済


 8月23日の経済サイト「DIAMOND ON LINE」では、結婚相談所マリーミー代表の植草美幸氏が「結婚できない筆頭は「昭和の男」と「ピアノお嬢さん」」と題する興味深いレポートを寄せています。

 数々の結婚をコーディネートしてきた(その道のプロの)植草氏の経験から言えば、結婚できない男性で30代に多く見られるのが「昭和の男」タイプだということです。

 生まれが昭和か平成かという話ではなく、母親が「昭和」のステレオタイプ、つまり専業主婦であった世代で、自分もまるで昭和に生きているかのようにふるまう男性を、氏は「昭和の男」と呼んでいます。

 両親のような結婚を理想とし、妻となる女性には、自分の仕事に合わせた生活をさせようとする。住む場所まで自分の職場の近くを選び、妻の生活は二の次にしてしまうのが「昭和の男」だということです。

 妻には専業主婦をさせたいと言いつつも、そうした「昭和の男」の年収は500~600万円くらいで婚活市場で飛びぬけて高いわけでもない。なので、女性からは「妻を専業主婦にして、自分に何かあったらどうするつもり?」と相手にされないと植草氏は説明しています。

 こうした「昭和の男」は、親以外の夫婦の在り方を知らず、学生時代にも恋愛してこなかったため、今の女性が求めている結婚が想像できない。偏った価値観を相手に押し付けて婚活に臨むので、(一・二度のデートにはこぎつけても)成婚に至るのは難しいということです。

 一方、女性にも、現実が見えていないことが原因で結婚が困難になるタイプがあると植草氏は指摘しています。そして、その端的な例が「ピアノお嬢さん」だということです。

 結婚相談所に登録してもなかなか結婚できない女性の職業に、教師や芸術家、そしてピアノの先生があると氏は説明します。

 教師は子どもの世界におり、結婚相手を子ども扱いしがちであることが原因でなかなかうまくいかない。また、芸術を売っている人たちはお金にならないものを売っていることが多く、現実社会と価値観がずれがちになる。氏によれば、それが組み合わさったのが「ピアノお嬢さん」だということです。

 ピアノ教室の生徒はだいたいが子どもで、大人社会が見えなくなる。また、ピアノの先生の月謝では自活できるほどの収入にはならないため、ほぼ親元で暮らしている。さらに、周囲の環境も世間知らずの彼女をそのまま受け入れていることで、「ピアノお嬢さん」の浮世離れに拍車をかけてしまうと植草氏は言います。

 氏によれば、「ピアノお嬢さん」は、周囲からも「(小さい頃から知っている)○○さんちのお嬢さん」として扱われていることが多いということです。

 「すらっと背が高くて綺麗なお嬢さんなんです。ぜひ結婚相手を見つけてあげて」と頼まれたので、よく聞いてみたら40代。一般的には「お嬢さん」と呼ばれることに違和感のある年齢だったなどという話は、「ピアノお嬢さん」の婚活相談にはよくある話だと氏は説明しています。

 さらに植草氏は、「ピアノお嬢さん」もまた、(「昭和の男」と同様)親との生活が結婚のイメージのベースになっており、そのため、世間離れした発言をすることが多いと指摘しています。

 例えば、結婚の条件として、簡単に「居間にグランドピアノを置けること」を挙げたりする。彼女にとってグランドピアノが置けない生活は考えられず、(逆に)そんな家を持てる男性が限られていることは想定していないという残念さがあるということです。

 さて、植草氏は、そうした彼ら、彼女らに共通する点を、親から「自立していない」ところに見ています。どちらもパラサイトシングルのケースがほとんどで、自分の人生に正面から向き合うような体験をしてきていないということです。

 このため、結婚するためにはいかに自立が大切であるかを、(親も含めて)声を大にして説明する必要があると氏は指摘しています。

 植草氏は、このレポートの最後に、もしこうしたケースが当てはまって結婚できない場合はどうすればいいかについてアドバイスしています。

 氏は、(結婚できない若者には)まずは親元から離れ、自立(一人暮らし)することを勧めたいとしています。世間をもっと知り、視野を広げてみること。自分の言っていることが非現実的であることも、自立していなければ理解することができないということです。

 所帯を持つということは、晴れて「一人前の大人」として認められるということ。大人社会の厳しさを身をもって知ることが結婚へのなによりの近道となるとこのレポートを結ぶ植草氏の指摘を、私も興味深く受け止めたところです。




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