行方不明のお年よりの方が一万人以上もおられる、と聞いて驚いた。
お年寄りの徘徊は家族にとっては本当に大変だと思う。
お年寄りの徘徊を耳にするにつけ思い出すことがある。
子供の頃のことだけれど・・・
祖母の実家から、ちょくちょくおじいさんがやって来られた。
草履を掃いて、着物の裾を引きずりながら・・・
祖母の兄弟にあたるのか、祖母の甥なのか、考えたこともなかったし、今となっては聞く人もいない。
そして、店の奥のあがりがまちに腰をかけて、何か話しておられたのか、殆ど記憶はない。ただ、お茶を一杯飲んで間もなく帰って行かれた。
私の育った町内では4つの学区に分かれていて、私の住んでいたところが第一学区。第二学区から歩いて来られたので、10キロ近くあったんじゃないかな？
私は距離感がまるでないので正確にはよくわからないけれど・・・
後になってみると、認知症の徘徊だったんだと思う。
その頃はまだ車も少なかったし、周りも容認していたんだろう。
本人にしたら、体は元気だし、好きな時にどこへでも出かけられて幸せだったんだろうなあ？
おじいさんの亡くなられた後、おばあさんも認知症になられたらしいけれど、その時は外へ出さないようにされたらしい。
夫々の症状も違うだろうし、家族も本当に大変だっただろう。
認知症の徘徊の話を聞くと、私はよくその二人のことを考えてしまうのだ。
