何気なく手にとった革の財布が
妙にしっくりきて
手放したくなくてついに買ってしまった。
誰かにプレゼントされた財布
通販で買ってみた財布
それとは違う。
しっくりと手になじみ
いつまでも触っていたくて
開いたり閉じたりしてる。
ほくほくした気持ちだ
お金は・・・ほとんど入っていないが・・・
自分がお財布を大切にしたならばきっと
お財布も自分を好きになってくれるに違いない。
何気なく着合わせてみたら
流行の洋服じゃないのに
鏡の中の自分を見たら妙にしっくりきて
あ・これが自分に合うスタイルなんだ
と、気がついたときがある。
何気なく買ってみたシャンプーで
朝、髪を洗ったら
今までにない手触りだったとき
しっくりと髪型がまとまったとき、
これだ！と思った。
使い始めて、もう10年以上になる。
何気なく買ってみたルームフレグランスの香りが
なんだか心地よくしっくりとして手放せない。
いつもそばに置いておきたい香りだと実感する。
何気なくその人と会話していたら
笑いのツボが同じだったり
求めていた答えがスルッと帰ってきたりしたとき
なにか・・ほかの人とは違うしっくり感を感じることがある。
ふと、誰かと握手したとき
その手の感触が妙にしっくりくることがある。
あとで考えると、父や母の手の感触に似ていたりする。
子供の頃、手を繋いでくれた・・その感触に。
だから、それらは全て
目に見えない
「感覚」に思えるけれど
遠い記憶の中に
「しっくり」の答えがあるのかもしれない。
「しっくり」は
じっくり選んだからといって、見つけられるものでもない。
いま、そばにある「しっくり」
これからめぐり合う「しっくり」
そう、多くはないかもしれない。
でも、それに気がついた瞬間
私たちはその感覚を決して忘れない。
だから 通り過ぎたくはない。
「しっくり」と 感じたそのときを。
