林安直の雑感

長野市の林写真事務所。
建築写真を中心に、いろいろ撮ってます。

Yの話 ハンバーグ事件

2023年12月08日 | 日記


本城村の農家 1979.6

大学時代、最も仲が良かったのが、札幌出身のY。
「キザな野郎だな」というのが彼の第一印象だったが、すぐ仲良くなった。
最初の夏休み、1週間ほど北海道でYと過ごした。
帰路、秋田とか東北をぐるりと回って帰った。面白い話がたくさんあるが、ここでは割愛。
彼のアパートは、高田の馬場。神田川の面影橋の近く。アジア荘という、たいそうな名前のアパートだった。
このアジア荘には、どのくらい泊まったことか。学生時代、彼といつも一緒だった。

大学に入ってすぐ、4月か5月の話。
クラス(20人ほど)のある女の子(A)が、Yに惚れるんだね。一目惚れというやつかな。
A子は、大きな旅館のお嬢さん。小柄で真面目そうな感じの、かわいい女の子だった。
ずっと女子校で、大学は別世界のようだったらしい。それに、1人暮らしを始めたばかりのころだ。

Y
を好きになったA子の頭の中は、まるでお花畑。一般的な恋愛の手順なんかどこかに行ってしまった。
Yと何度か話しただけで、恋人気分だったのかもしれない。
A
子は、マンションにYを誘うんだね。「こんど遊びに来て」とか「ご飯、作ってあげる」とか言ったらしい。
まだ一度もデートもしていないのにね。それだけ思いが強かったのだろう。

A
子の趣味は歌舞伎鑑賞。新幹線に乗り、歌舞伎座に通っていたとか。
イケメンのYが、歌舞伎役者に見えたのかもしれない。
Y
は長身のイケメンで、彼の奥さんも美人。
その娘さんも、もちろん美人で、ミス○○に選ばれたことがあるそうだ。

A
子に誘われたY、「林も、一緒に行こうよ」と、おれを誘った。
そんなとこ、行きたくないし、行けるわけないよね。
断ったが、Yはしつこかった。で、仕方なく承諾。
「女の子の独り住まい」なるものを見たい気持ちがあったからかな()
今思うと、YはそんなA子を、あるいはA子に振り回される自分を警戒したのかもしれない。
Yは、そういう奴なんだ。
約束の日の夕方、おれとY は池袋のA子のマンションに向かった。

Y
が部屋のチャイムを押すと、笑顔のA子がすぐ出て来た。
「どうして林さんがいるの?」とは言わなかったが、おれを見て驚いていた。
気まずいよね。来たことを後悔した。
エプロン姿のA子が、かいがいしく、いろんな料理をテーブルに運んだ。そこで事件(大袈裟かな)が起きた。
おれとYは、皿の上のハンバーグにびっくり。Yの驚いた顔を今でも覚えている。
Yのは巨大なハンバーグで、おれのは小さかったからだ。
Yは、すぐおれの皿と取り替えた。そのままにしておけばいいのにねえ。
これ、気まずいよね。おれは、またまた来たことを後悔した。
おれはおれで、また皿を取り替えた。おれが大きなハンバーグを食べたら、まずいもんね。
彼女はというと、俯いていた。またまた、おれは来たことを後悔した。

「おれの小さいハンバーグって、本当は彼女の分だったのかな」とも思ったが、料理に時間がかかっていたから、そうでもないらしい。
「おれに対するイヤミかな」とも思ったけど、それも違うようだった。
ただ単に、「大好きなYにたくさん食べてもらいたい」との気持ちだったのだろう。
ある意味、純情だったのかな。

おれを誘うYYだけど、そのYに付いて行くおれもおれだよね。今も、反省している。
ハンバーグのせいかどうかしらないが、YA子とは付き合わなかった。
A子にあのときのことを聞いてみたかったが、卒業してからは一度も会っていない。

コメント
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