先日、女房と映画を見に行った。久しぶりのこと。見たのは、「ゴジラ −1.0」。
「えっ、こんなの見るの」と、女房。見終わっても、そんな感じだった。
伊福部昭のゴジラのテーマがいいね。映画館に響く重低音。70年前の曲とは、とても思えない。不朽の名作だ。
話が進み、作戦開始のときにこれが流れたが、なぜかウルウルしてしまった。
映画の音楽って、とても大事だよね。
大学時代、「映画音楽」という必須科目があった。
「知らない映画の知らない曲」の話ばかり。おれにはチンプンカンプンで、退屈だった。
ボッーとしていたら、「名簿44番の林君」と指名された。もう、びっくり。
「ロマンチックとは、日本語でどう訳す?」と聞かれた。すぐ「伝奇的」と答えた。
丸暗記した辞書の言葉だ。講師の先生は、一瞬困った顔をした。期待した返答と違ったのだろう。
「伝奇的とは?」と、聞かれないでよかった。「伝奇的」の意味を知らなかったからね(汗)。
この「映画音楽」のテストが大変だった。
もちろんペーパーテストだったが、問題が難しすぎた。で、最後の問題だ。忘れもしない。
「知っている現代音楽家の名前を記せ」というもの。頭がクラクラした。1人も浮かばなかったからだ。
で、どうしたか。とにかく知ってる名前を羅列した。ビートルズ、チャック・ベリー、マーヴィン・ゲイ、エルビス・プレスリー、
美空ひばり、三波春夫、南こうせつ、荒井由美、井上陽水、等々。答案は返却されなかったが、成績はAだった(汗)。
後で聞いた話によると、プレスリーでも美空ひばりでも正解なんだってさ。
加点法式ってやつだから、ひょっとしたら、おれの答案は100点を越していたかもしれない(笑)。
まあ、馬鹿な学生のためのボーナス問題だったのだろう(笑)。
選択科目の「数学Ⅱ」。
友人のYがどこで聞いたのか、「出席は取らないし、試験は超簡単だってさ。取ろうよ」と、おれを誘った。
数学大嫌いだったけど、渋々承諾。授業に出席したのは初日だけで、数カ月後、試験に臨んだ。
問題を見て、やはり頭がクラクラした。「どこが超簡単なんだよ。わかるわけ、ねえだろ」という感じ。
困っていると、10分ほどしたら講師の先生が教室から出て行った。
一瞬の沈黙の後、教室は大騒ぎ。教科書を広げる奴、隣と相談する奴。
おれはというと、隣のYに答えを書いてもらった(汗)。「数学Ⅱ」の成績も、もちろんAだった(汗)。
やはり、馬鹿な学生には、それなりの配慮が必要だということだ。
講師の先生の苦労と諦め、お察し申し上げます。
「映画音楽」で指名されたが、「英語」ではこんなことがあった。
テキストはアメリカだかイギリスの有名な小説(名前は失念)。
文庫本が出ていたので、たまたまそれを持っていた。
「44番の林君。ここから訳しなさい」と、突然言われ、パニクってしまった。
で、どうしたかというと、その文庫本のその箇所を「丸読み、棒読み」した。着席してから、少し冷静になり、反省した。
「もう少しゆっくり、つっかえながら、ところどころ間違えて訳せばよかった」と。まったく冷や汗ものだった。
英語の先生は、なにも言わずに次に進んだ。というか、おれの訳したところの解説を飛ばして、次に進んだのだ。
やはり、馬鹿な学生の相手はしたくなかったのだろう。ごもっとも。お察し申し上げます。
なんの教科だったかな。テストに「テキスト持ち込み可」というのがあった。これが困るんだ。
早い話が、「単位が欲しければ、私の本を買いなさい」ということ。古本屋に行ったが、売り切れ。仕方なく、新刊を買った。
「なるほど、こういう手もあるんだ」と、その講師に感心したことを覚えている(笑)。
三流大学の授業なんて、だいたいがこんなもんだった。
なにもしないで4年間を過ごした。勉強らしい勉強は、ほとんどしなかった。
それでも、ちゃんと卒業できるんだね。日本の大学は、いいね。