およそ40年以上も前になるだろうか油絵を始めたいと思ったことがあった。それで画材屋を訪ねたら道具一式そろえたら3万円くらいかかりそうな気配なので貧乏人の自分は断念したことがあった。それきり油絵のことは忘れていたのだけど日本脱出後バンコクでカナダ女性と親しくなり彼女と所帯を持つためには油絵をマスターして画家として立とうと考えるようになった。それで18色ほどの基本的なセットを買ったらわずか6百円程の出費だったので、すぐに実地に試してみた。同じセットでも日本のブランド品を買ったら数千円はとられただろう。日本では画材が異常に高くてこれが国民を芸術音痴にしている遠因ではないかと思っているのだが、キャンヴァスなどリスボンに比べて3倍も高い。だから貧乏人の僕は日本に帰ってからはいつもダイソーで買った10枚百円の画用紙に油絵を描くようになった。絵筆も同じダイソーの丸筆4本ナイロンブラシを使っている。だからひと月に百円か二百円くらいしか使うことがない。油絵のチュウブは今までに5人の中途リタイアの油絵画家から大量に頂戴しているので、どんなに描いても描いても消滅しない。しいて言えばwhiteが必要になるくらいだろうか。さように経済的な遊びだから皆様にお勧めしたいわけである。この世の中には実に中途リタイアの油絵画家が多いのだ。そういう人たちは高価な画材だっただけに捨てることもできずに困っているわけだ。自分ももう人生が短くなったので誰かにもらってもらわなければこの大量の油絵の具のはけ口はないだろうと思案しているところです。希望者があればどうか予約を入れてほしい。
前に貯金が5百万円を超えると悪魔に魅入られると書いたことがあるのだけどご記憶されているでしょうか。普通の人にはこんなことは起こらないかもしれませんが、貧乏神に魅入られた僕には起こるのです。大体百万円以上の貯金ができると勤労意欲がなくなってしまうのです。それが5百万円ともなれば一大事です。もう上役の機嫌を気にしながらの宮仕えなど出来るものではありません。それで自主独立を考えてしまいました。つまり自営業への転換でしたが、思いついた職種はたこ焼き屋とモデルガンショップの二つでした。僕は大のたこ焼きファンでしたし、モデルガンについては5歳の頃からその収集を始めていたのです。そこで考えたのですがたこ焼き屋はすぐに飽きてしまうだろうと思われ、小さいころからの夢だったモデルガンショップを始めたのです。毎日大好きなモデルガンに囲まれての生活はどんなにか楽しいだろう、そう思って開業に踏み切りました。折しも世の中はいざなぎ景気とか言われてバブル真っ最中でしたから商売はすぐに軌道に乗りました。現金がだぶついて困りました。取引銀行からはどうか借金をしてくれと頼まれる始末です。僕には現金が余っているのになぜ銀行からの借入金を造る必要があるのかさっぱりその理屈が分かりませんでした。それでそのころはやった乱開発の別荘地を購入しました。ガンマニアが3人集まってグアム島に実弾射撃に行きました。その仲間を引き連れてスナックへ通うこともしました。そしてスナック嬢との不倫の恋に陥り地獄を見ました。最終的には一家離散、すべてを喪失して日本にも住めない事情が生まれました。全く悪魔に魅入られたような恐ろしい4年間でした。あんな地獄のような体験はもう二度としたくありません。持ちなれないお金を持つということがどんなに人生の破滅に繋がるか、僕は嫌というほど実感しました。だから最低の生活をしつつも高い理想に向かって精神の世界に遊ぶのが一番と思うわけです。絵画や読書の生活は天国に一番近い生活だと思っています。好きな鉄砲も女性も絵に描いて楽しむだけだったら地獄に落ちないで済んだでしょう。合掌。
「ここ最近では学校でも金融情報を共有し始めた、はとてもショッキングな話でおどろきました。日本人みんなが金銭に目くじら立てている精神的貧困が推測されて一種の恐怖を覚えました。小生は今これ以上の貧乏はないという生活をしていますが、一生のうちで一番精神的に安定しており、趣味生活の充実を日々満喫しています。しかも完璧に金銭から解放されているという自由の感慨は言いようがありません。貧乏は最強の精神安定剤だと思っています。お笑いください」
上は『貯金は最強の精神安定剤』というブログにコメントを残そうとして画像認証がうまくいかず断念せざるを得なかったので備忘のためにここに貼り付けてみたものです。僕はブログ村でこのサイトを知ったとき、『貧乏は最強の精神安定剤』という風に読み違えてしまったのです。僕は貧乏神と大の仲良しで、人間特有の見栄や虚栄心から完全に開放されているので、こんなに幸せな人生はありません。今は日本の有名画家の作品模写3時間タイムトライアルという新しいプロジェクトに取り掛かったので暇がなくなったけど、これが終わればゆっくりと静物画など描いて遊びたいと思っています。
明日はいよいよ立春です。ごきげんよう。