着物の利点と価値をいくら認めようと着る機会のないものに数十万円もかけられるものではない。それはわかる、けれども浴衣ならだれでも購買可能な値段だと思うので一枚くらい持っていてほしい。そして機会を作って我々男性の前で披露してもらいたい。カナダにいたときはカナダの女性は50を過ぎたらもうそれ以上は年齢を重ねないのだと言って若々しい色合いのものを好んで着るようになるのを毎日見ていたので、日本婦人が年老いてドブネズミ色の衣装ばかり着ているのは何とも情けない風情がする。同じドブネズミ色でも着物ならばもう少し豪華に上品に見える。少しは考えられたら良いかと思われる。昨今は着物のセカンドハンドが千円2千円で出回っている。『70歳年金5万円』の著者紫苑さんはそこのところをよくわきまえておられる。
55年前東京は水道橋でこんな風に浴衣を着こなして粋に歩いている姐さんを見てその時の眼が覚めるような姐さんの足の白さがいまだに瞼にこびりついて離れないでいる。古き良き時代の再来はもはや望めないのか。