むかし、二月三日の節分は今の様な豆まきをする日ではなく、
神社やお寺へお参りに行く日だったそうです。
ある頃から二月三日にお参りに行く人間たちを、鬼たちが
襲って食べるようになりました。
それを知った神さまが、鬼の親分を呼び出して言いました。
「お前たちは、わしの所へ幸せを祈りにやって来る人間を
食べているそうだな」
「はい、その通りです」
「お前たちは、なぜ人間を食べるのだ?」
「なぜと言われても、むかしから鬼は人間を食ってきました。
他の食べ物では、体に力が入りません。
人間も、鳥やけものを食って力を付けます。
それと同じ事です」
「それは確かに・・・」 少し考えた神さまは、鬼の親分に
豆粒を差し出して言いました。
「お前たちにこの豆をやるから、豆を育てて実らせてみろ。
見事に豆が実ったなら、今まで通り人間を食べてもよい。
その代わり豆が実らない時は、人間を食べるのは止めるのだ。
どうだ、約束するか?」
鬼の親分は、笑いながら約束しました。
「豆を実らすなど、簡単な事です。約束しましょう」
神さまから豆をもらった鬼の親分は子分の鬼たちと一緒に
畑を耕すと、もらった豆をまいてたっぷりと水をやりました。
ところがいつまでたっても、芽が出てきません。
「おかしい。こんなはずでは・・・」
鬼の親分は、神さまのところへ行って尋ねました。
「あの、神さま。もらった豆が、変なんです。
もしや、豆が腐っていたのでは?」
「何を言うか。わしも同じ豆を畑にまいたが、ちゃんと育って
いるぞ。疑うのなら、ついてこい」
鬼の親分が神さまについて行くと、そこには青々とした豆畑が
一面に広がっていました。
「確かに。なぜ、おれたちの豆は芽を出さんのだろう?」
「それでは、もう一度やってみるか?」
「はい、ありがとうございます」
鬼の親分は神さまからもう一度豆をもらうと、喜んで帰って
いきました。
実は神さまが鬼に与えた豆は、火にかけて炒った豆だった
のです。これではどんなに鬼が頑張っても、芽が出るはずが
ありません。
しばらくすると、また鬼の親分が神さまのところへやって
来ました。 「神さま、豆がどうしても芽を出さないのです」
「何なら、もう一度豆をやろうか?」
神さまが言うと、鬼の親分は首を振って言いました。
「いいえ、もう豆を見るのも嫌になりました。
約束通り、人間は食いません。
・・・だけど、道で転ぶほど弱った人間くらいは、
食わせてください。 ただし、疲れて転んだ人間は
食いませんから」
鬼の親分の言葉に、神さまは頷きました。
「よし、いいだろう」 そして鬼の親分が帰ると、神さまは
人間たちに言いました。
「人間たちよ。 もし道で転んだ時は『疲れた、休もう』と
言うのだ。 そうすれば、鬼が襲ってくることはない。
それから鬼は、炒った豆が大嫌いじゃ。 鬼が現れる
節分の日は、炒った豆を鬼に投げつけてやるといい」
それから人間は道で転ぶと『疲れた、休もう』 と言うので、
鬼は手を出す事が出来なくなりました。
そして節分に炒った豆を鬼に投げつけるのも、この時から
始まったそうです。
・・・おしまい
鬼が餅つきゃ、閻魔が捏ねる、そばで 地蔵が食べたがる
「“Clubhouse(クラブハウス)”っていうSNSがはやっている
らしいよ」と息子から聞いた。「なにそれ?」
そういって考えていると、昨年アメリカでかなりの資金調達を
して話題になっていたあれか、と気がついた。
それから数日経つと、あれよあれよという間にTwitterで
フォローしている著名な方が「Clubhouse始めました」なんて
いう書き込みをし始めた。
「へえ、なんだろう」新しもん好きなボクとしてはのぞいて
みたいではないか。
ところが、Clubhouseには誰かに招待してもらわないと入れ
ないらしいと知る。1人の会員で招待できるのは2人まで
(招待できる人数が増えた人もいるみたい)。
!」誰かボクを招待してくれる人はいないか?
音声でコミュニケーションをとるSNS 喋れないボクには天敵?
Clubhouseは音声版Twitterのようなものといわれ、音声で
コミュニケーションをとるツールだ。だから喋れないボクには
天敵みたいな存在でもある。
Clubhouseは2020年3月にアメリカのAlpha Explorationと
いう会社が始めたという。まだ1年ちょっとなわけだ。
日本語版はなく表示は英語。
Clubhouseがこんなにも注目を浴びているのには巧妙な戦略
があるという。
まず「招待制」であるということ。今のところ、すでにClubhouse
を利用しているユーザーからの招待でなければ入れない。
なかなか入れないとなると、余計入りたくなるわけだ。
だから、ユーザーからの招待を待つしかない。もしくは、息子
から教わったのだが、「まずClubhouseに登録する→すると
自分が電話番号を知っている知人の中でClubhouseに登録
している人がいると、その人に通知がいく→その人たちの中
で枠を譲ってくれる人を待つ」っていう方法が良いらしい。
しかも今はiOSのみ。Androidでは利用できない。
これはどうにかしてClubhouseに入らなくてはとアプリを
インストールし、登録もしてみた(ユーザーネームの登録だけ
は先にできる)。
若い知人2、3人に「周りにClubhouseをやってる人いない?」
と聞いてみた。「いないですねえ」そうか、まだダメなんだなあ…。
まだそんなに使っている人がいなかった1月の始め。
まんまとClubhouseの戦略にハマっていく。
登録したその日にFacebookとTwitterで呟いてみた。
「Clubhouseに入りたい!」すると1日も経たず知人から
「招待送ります」との連絡。言ってみるもんだ。「ありがとう!!」
うれしかった。
ラジオみたいだけど参加型
ざっくばらんな話で盛り上がる 加入した夜、スマホに通知が
来た。知人のエッセイスト(タレントでもある)が「寝る前に
ちょっと話しませんか?」というルームを立ち上げるというので、
入ってみることにする。事実上のClubhouseデビューである。
この通知はフォローしていると出るらしい。ボクにとっては彼女
は互いにフォローしあっているまだ数少ないユーザーの一人だ。
入ってみると有名人だけあってかなりの人が彼女のルームに
入ってきて聞いている様子。
モデレーター(ルームの主催者)の彼女が司会のように話し
始める。続々と入ってくる人の中で彼女が「神足さんも聞きに
きてくれてる!ありがとう」とか気遣いも見せてくれる。
フォローしあっていると別枠のところに入室したことが表示
されるのでわかるのだ。モデレーターが、入ってきた中で
数人一緒に話す人(スピーカー)を指名して話を始める。
その日のスピーカーも元雑誌編集長だったり、占いの著名
な方だったり面白いメンバーだった。
Clubhouseのメンバーなら誰でも聴ける。いいねボタンとか
文字でのコメントはできない。
モデレーターが質問を投げかけたりすると、多くのリスナー
たちが「手のひらマーク」を押して「挙手」をし、モデレーターが
指名したらその人が話す。話したこともないテレビで見かける
ような人と普通に話せる。
彼女たちがたまたまメジャーなメディアに露出していることも
あったかもしれないが、なんかラジオを聞いているみたい
だなあと思った。しかも公開リスナー参加型。
何を発言されるかわからないという危険性もあるわけだが、
まあ公共の電波ではないので、生放送でNGワードを喋って
しまって大惨事というような危険性は回避される。その分
ざっくばらんな会話ができるわけだと思う。
SNSでよく問題になっている批判や攻撃が実際の音声で
どれほど行われるかはわからないが、一応登録は実名。
別名というところでクリエイター名を記入できる。
紹介ということもあり、今のところ治安は良いように感じる。
鼠算のように利用者が増えていくのであろうから、今後どう
なっていくかは未知の世界。
ほかにも、相互フォローしているミュージシャンのルームにも
入ってみた。彼も同じ頃Clubhouseを始めた新人。
こちらはマニアックな会話がなされている。好きな人が集まり
好きな話をする。
彼のファンは当然のことながら、ニッチなテーマの話を
聞きたい方も楽しめることだろう。
議論が白熱して喧嘩になったりしないんだろうかと、
退出してから余計なお世話なことを妄想したり、初日の
Clubhouseめぐりは収穫も大きかった。ファンとの距離が
こんなに近いのもすごいことだなあと思う。
かつてはチャットやmixiも いろんな出会いがあったなあ…
そういえば、15年前ぐらいには「mixi」というのもはやった。
それにも似ている。mixiはコミュニティを立ち上げて、その中
でのやりとりを楽しむ。当初は招待制だったのも似ている。
Clubhouseよりも閉鎖的だったのか、親しい仲間で楽しむの
が中心だった。
それより前に、まだ電話回線でパソコンを使っていた頃は
チャットが流行っていた。招待制ではないが、世界中の人と
つながっていた。妻はよくヨーロッパの知人と会話していた。
出会い系として利用されて問題にもなった。その頃、東京在住
の知人が沖縄の人と結婚すると聞いて、どこで知り合ったか
聞いたらチャットで知り合った人と結婚したなんて言う。
新しい時代だ!と、おじさんとしてはかなりビックリした。
その方は、チャットで毎日会話して電話もするようになり、
写真を交換したという。そして中間地点の名古屋で開催
された「愛・地球博」ではじめて会い、その日のうちに結婚
を決めたんだそう。
すごい世の中になったなあと思ったが、母は「昔はまったく
知らん人と結婚式当日に会って結婚しとったんじゃけん」
とも言っていた。
みんな「リアルな会話」に飢えている これからどうなっていく
のか楽しみだ これだけ変化の激しい時代に生きているのは
すごいことだなあと思う。
いろいろなツールがあったが、なんで衰退していったのか。
閉鎖空間での会話よりも、より多くの人に発信できるTwitterや
Facebookが優位に立った時代の流れだったのだろうか。
衰退していくツールには時代背景の訳もあるのだろうが、
出てくるものにもやはり当たり前だが訳があるに違いない。
戦略が巧妙だという点のほかにも、Clubhouseの流行の背景
には、やはり世界中の⼈がリアルな会話に飢えているという
背景も影響しているのだとボクは思う。実際に会って
話せない分、余計に。
人の声が聞こえる。ボクは話せないので今のところ聞く専門
になっているが、ルームを立ち上げたりもしてみたい。 ・・・