2006年、「子供に伝えるクラシック」というDVDが、全国の小学校にくまなく配られました。音楽のすばらしさを多くの子どもたちに知ってもらおうというプロジェクトで、梯剛之さんの演奏で、クラシックの名曲が綴られたものです。
完全に無償。非売品。
DVDは続けていくつか出ていますが、最初の作品は、モーツァルト。
「モーツァルトは生命の輝き」と題されています。
その折り込みのパンフレットに、谷川俊太郎さんの詩が書かれています。「モーツァルトを聴く人」という詩から「人を愛することの出来ぬ者も」が紹介されています。
谷川さんの詩らしく、連の冒頭を「これが一番いいもの」で始まる、4つのいいものからなる詩です。
何がいいものかははっきり書かれていませんが、
澄み切った9月の青空には及ばないけれども世界中の花々を全部あわせたよりもよりもいいもので
乾ききったのどがむさぼるほどに冷たい水とは比べられないけれど炊きたてのご飯に海苔に卵に塩鮭と同じくらいいいもので
ボクら人間の持ち得た最上のもので
誰にもひとしく喜びを与え、神殿や黄金でなく、偽り多いことばでないもので。
それってなんでしょうね。
最後の連だけ、そのまま引用します。
これが一番いいもの
この短い単純きわまりない旋律が
ぼくは息をこらす ぼくはそっと息をはく
人を愛することの出来ぬ者もモーツァルトに涙する
もしもそれが幻ならこの世のすべては夢にすぎない
なるほど。そうかも知れない。
子どもは意味なんぞわからなくたって宮沢賢治の旋律に感応する。
クラムボンはかぷかぷ笑うんだ。
音楽なんか知らなくても、愛なんか知らなくても、モーツァルトに揺さぶられる。
五線譜を音楽だなんて思っちゃあいけないんだな。あれは、生命の読解図だよ。
完全に無償。非売品。
DVDは続けていくつか出ていますが、最初の作品は、モーツァルト。
「モーツァルトは生命の輝き」と題されています。
その折り込みのパンフレットに、谷川俊太郎さんの詩が書かれています。「モーツァルトを聴く人」という詩から「人を愛することの出来ぬ者も」が紹介されています。
谷川さんの詩らしく、連の冒頭を「これが一番いいもの」で始まる、4つのいいものからなる詩です。
何がいいものかははっきり書かれていませんが、
澄み切った9月の青空には及ばないけれども世界中の花々を全部あわせたよりもよりもいいもので
乾ききったのどがむさぼるほどに冷たい水とは比べられないけれど炊きたてのご飯に海苔に卵に塩鮭と同じくらいいいもので
ボクら人間の持ち得た最上のもので
誰にもひとしく喜びを与え、神殿や黄金でなく、偽り多いことばでないもので。
それってなんでしょうね。
最後の連だけ、そのまま引用します。
これが一番いいもの
この短い単純きわまりない旋律が
ぼくは息をこらす ぼくはそっと息をはく
人を愛することの出来ぬ者もモーツァルトに涙する
もしもそれが幻ならこの世のすべては夢にすぎない
なるほど。そうかも知れない。
子どもは意味なんぞわからなくたって宮沢賢治の旋律に感応する。
クラムボンはかぷかぷ笑うんだ。
音楽なんか知らなくても、愛なんか知らなくても、モーツァルトに揺さぶられる。
五線譜を音楽だなんて思っちゃあいけないんだな。あれは、生命の読解図だよ。