アル中雀の二枚舌

アル中、ヘビースモーカー、メタボで脂肪肝、おまけにトドメの脳出血&片麻痺──現在、絶賛断酒中。そんな中年男の独り言

MIDNIGHTⅠ

2007年06月07日 23時32分02秒 | ミステリー
「FOUR PAST MIDNIGHTⅠ ランゴリアーズ」 スティーブン・キング著 小尾美佐訳

(裏表紙の解説から)
――真夜中のジャンボ機――眠りから覚めた者たちを驚愕が襲う。たった11人を残し、他の乗客がみな消えているのだ。しかも眼下にあるはずの街まで……想像を絶する危機と戦う男女を描く表題作。盗作疑惑に追いつめられる作家の物語「秘密の窓、秘密の庭」。
中編集と称しながら、実は長編二本分の分量の作品を収録した贅沢な一冊。

キングの作品は、ともかく絶望的な状況から、さらに追い打ちをかけて、どんどん落ち込んでいく、さらにこれでもかと、どん底に突き落とされる――そんなイメージがあります。

――ここからネタばれ――

とりあえず、「ランゴリアーズ」は、タイムスリップと、世界を喰い尽くすクリーチャーなどが出てくる、作品ですが、一応、ハッピーエンドです。
キングにしては珍しい展開です。
映画化もされているようなので、気が向いたら観て下さい。

「秘密の窓、秘密の庭」は、自己崩壊していく作家の物語です。
テーマは剽窃です。ようするに盗作ですね。
なかなか興味深い作品でしたが、キングにしては、イマイチのエンディングでした。

キングの自伝「死の舞踏」でも、書かれていますが、キングがコカイン中毒だった頃に書かれた作品とは違って、まともな小説です。

面白くて、眼が離せない作品であることは間違いないのですが、キングオブダークネスと呼ばれていた、全盛期の、読んでいて背筋が凍るような恐ろしさは無くなっています。

そもそも、キング作品で、それなりにハッピーエンド、というのが、何か違うなぁ――と感じてしまいました。

まあ、それでも「FOUR PAST Ⅰ」なので、続きの作品も読んでみたいと思います。