夏ですね

一応、テレビでは終戦記念の特番もあるらしい。
しつこいようですが、また書きます。
私には１６歳で戦死した叔父さんがいます。
最近分かったこと。叔父さんが、日向という戦闘空母――元々戦艦だったのだけれど、無理矢理空母に換装したらしい――で戦死したらしい。ということ。
だとしたら、多分、戦死したのは瀬戸内海のはずなんですが、骨は戻ってこなかった。
骨箱に入っていたのは　丸い石ころだったそうです。
今度、呉に行くことがあったら、海に手を合わせてこようと思います。
で、猛暑のお陰か、ヒマなので、浅田次郎さんの「日輪の遺産」を一気読みしてしまいました。オススメです。この本。
一応映画にもなっているので、興味を持たれた方は是非。
一応概略を説明すると、山下総督（ハリマオですな）、がフィリピン総督府から分捕ってきた、マッカーサーの隠し財産――フィリピン独立の為の資金――を戦後のインフレに備えて秘匿しようという秘密作戦です。
当時の金額で九百億円、現在だと二千五百兆円、どれだけの金銀財宝でしょうか。
ちなみに有蓋貨車５両分だそうですが……
コレを読んで分かるのは、未来に借金を残しちゃならない、って事です。
大蔵省から陸軍に派遣された小泉中尉、っていうのが出てきますが、こいつがカッコイイ。
戦後の経済予測を正確に言い当てて、一千万人が餓死します。なんてセリフを吐く。
きわめつけが、この小泉がたった一人で、マッカーサーと直談判して、戦後の日本を救い、経済成長の基盤を、命と引き替えに作る所です。
小泉中尉が重視したのは、帳簿上の上っ面の経済じゃなく、国民の実体経済です。
マッカーサーに、コイツは誰も飢えさせない事だけを考えている、と言わせます。
そういう視点ではマッカーサーもそれなりに　カッコイイ。
もう一人、カッコイイのは、赤鬼と綽名をつけられた、曹長　という人物。
個人的には、官僚の小泉より、こちらの方が、親近感があります。
キングスイングリッシュで、噛みつくようにマッカーサーに、復興財源や為替レートを具申する小泉は、やっぱり別世界の人ですな。
そういう意味では、曹長は生々しく、凄い――ワシ、コイツだけは飢えさせん。いや、コイツだけじゃなく、この村の百姓全部、絶体飢えさせん、って誓ったですよ……
是非、後一読を。