ちょっと長くなった「ひとこと感想」その1。
ジョージア映画2本立てで、『みかんの丘』の前に観たのが良かったと後から思った。
この映画はセリフが少なく、「ただじっと見つめていると、少しずつ事情がわかってくる」タイプの作品。(わたしはこういう映画も好きなので、興味を持って観ていたけれど、退屈だと思う人も多いかもしれない)
紛争の起きている2国の境界にある川の中州(流れと共に形を変える)に、おじいさんと孫娘が小舟で通ってきて、トウモロコシを植え、食料の補助にしようとする。昔からの風習として認められてはいても、境界の監視艇、脱走兵やその捜索に来る人々。一方で、水かさが増すと中州は削られ、収穫も確実ではなく、危険の多い作業に見える。
けれど、そもそも「戦争」が起きている場所で暮らすことは、「危険」と共に生きていることなのだと。言葉が通じなかったり、脱走兵と娘は互いに元々関心があり、祖父は神経を尖らせたり。さまざまな立場の人間がいて、何をどう誤解されても不思議じゃないという環境で、わたしには想像できることが多少あっても、まったく想像つかないような生活だ。
そこで小屋を建て、作物を植え、魚のワナをしかけ、焚き火で焼いて食べる。そういう「人の身体や手が作り出す世界」の手ざわりを思い出し、それに少しでも実感を持てたことが、次の『みかんの丘』を見る際に役に立ったと、わたしは思った。
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