(監督:ユホ・クオスマネン 2021 フィンランド=ロシア=エストニア=ドイツ)
前回の記事で「観た後、気分が沈んで…」「後味が悪い」映画のことを書いたので、今回は「後味が良かった」映画のことを少し。
以前自主上映のチラシを貰ったことがあって、ざっと眺めたところ、なあんとなく「メンドクサそう」な映画に見えたのだけれど…
あちこちで好評だった(カンヌではグランプリとか)という話を聞くと、やっぱりちょっと観てみたくなる。(北欧の映画はまあまあ好きな方)
でも観始めてからはずっと、予感が当たっていた気がして、正直「マズかったかなあ」と。
1990年代のモスクワから「世界最北端駅ムルマンスク」まで、フィンランド人留学生(ラウラ・中年女性)が寝台列車で旅をするというお話。それだけならある種のロードムービー?で、少しはわくわくするものがあってもいいはずなのに…
恋人(留学先の?大学教授・同性)と、ムルマンスクにある大昔のペトログリフ(岩面彫刻)を見にいくはずが、突然恋人の方からキャンセルされ、モヤモヤを抱えたまま、主人公(留学生)はひとりで出発。
ところが、同じ6号客室に乗り合わせたロシア人の炭鉱労働者(若い男性・リョーハ)の「粗野な言動」「失礼な態度」にへきえきさせられ…(酔っぱらって娼婦扱いされるレベル)。
旧ソ連崩壊直後?のロシアの寝台列車というのもナカナカの風景で、物珍しさよりも「これじゃあ先が思いやられる」と思うばかり。(ほんとにこれほど雑然としてたんだろうか)
夜の場面も多く、暗い画面で先行きのワカラナイ物語についていくのに、ちょっと疲れてきたりもしたのだけれど…
列車の進行がノンビリしているせいもあって、ラウラは途中、さまざまな人に出会う。
粗野に見えたリョーハが案外親切な人間であること。妙にインテリぶった大学教授の仲間たちと違って、人々(ロシアの庶民?)は大らかで、温かみがあること。
そういう中で、ラウラは自分が無理をしていた(とわたしの眼には見えた)ことを知り、恋人の生活から垣間見えた上流階級?の上品さに憧れることの無意味さに気づく。それまでにすでに気づいていたのに、気づかないふりをしていた自分…
これまでの人生を見直し、この先の自分のゆく道を考え始めた、そんなラウラに、リョーハは別れに際してささやかなプレゼントを用意していた。
そして、添えられた短い手紙。その言葉には伏線があったのだけれど、「こういう回収のされ方をするのね」と、ラウラ同様、わたしも笑ってしまった(^^)
何も解決はしていない(と思う)。ペトログリフも結局(時季が悪くて)観られなかったはず(とわたしは思ったけど、よくわからない)
それでも「後味が良かった」のは、リョーハのあのプレゼント(でもないけど)と手紙の取り合わせが、とても良かったからだ。それだけで、それまでのゲンナリ気分が吹き飛んで、なんだかわたしも極北地方の鉄道旅行をしたような、新鮮な気分が残った。
カンヌでのグランプリの意味・理由を、わたしはよくわかってないと思う。フィンランドと旧ソ連・現ロシアとの過去の経緯や歴史も、関係ありそうな気もする(やんわり匂わされてる気がして)。
それでも、誰かに「どうだった?」と訊かれたら、「最後に行くほど面白くなったよ」と笑顔で答えそうな映画デシタ(^^)
そんな映画って結構あります
映画はやっぱりハッピーエンドが良いよね( *´艸`)
最近は笑って見られる映画がいいな~って思う。
こうも暑いと、映画じゃなくてドラマでもいいの。
「大豆田とわ子」と「ゆとりですがなにか」
奨められて観てます。オモシロイ~(^^)
映画でこういうの観たいなあ…って。