眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

今だけさよなら 

2017-06-17 15:56:57 | 人の記憶
「カクザイって、握ってると、後で手ェ離そうとしても ガチガチで、離せなくなるんですよ」        「・・・火炎ビンとか投げたりしました?」 「う~ん、そーゆー話はまあ置いといて(笑) え~と、何科なんですか?」        「何科?」 「お医者さんなんでしょ?」        「ううん、私は医者じゃなくて・・・        なれなかったんです。あ、でも        卒業だけはし . . . 本文を読む
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『メッセージ』

2017-06-13 22:44:22 | 映画・本
映画の冒頭、幼い娘と相手をする母親の映像が続く。淡い光、優しい音・・・切ないほど一生懸命娘を見つめる母親の瞳に胸を衝かれ、「(かつての)私なんかと全然違うなあ。大事な子で、この人もいいおかあさんなんだ」などと思いながら見ているうちに、子どもは病気で亡くなったのを知る。「ああ、そうだったんだ」その後に続く現在の母親の日常、その佇まいが、どちらかというと暗く寂しそうに見えるせいで、私はきれいにダマサレ . . . 本文を読む
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そりゃあ泣くわぇ、こどもやもん 

2017-06-08 13:33:53 | 人の記憶
13年前。今はなくなってしまった映画館で。 「アンタも来ちょったんやね。うちら、後ろの方で観ちょったき気ィつかんかったやろ」 ・・・映画お好きなんですか? 「うん。ここも時々来るよ。今日のはアンタ、どーやった?」 ・・・う~ん、まあまあかなあ。 「実はうち・・・最近、姉が亡うなってね。乳がんやったんやけど、なんかしてやりとうても何したらいいんかわからんで」「それで、死んでからもずっと考え . . . 本文を読む
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