ハンチントンは「西洋文明」と「イスラム・儒教コネクション」とは衝突すると予告した。ハンチントンは冷戦時代の戦略理論家で、ハーバードのジョン・オリン戦略研究所の所長であったが、その論文が「フォーリン・アフェアーズ」に掲載されたのは1993年の夏。論争も噴き出て、日本でもすぐに「中央公論」が特集を組んだ。その論文を膨らませたのが本書である。文明が衝突するという見方には怪しい点もある。文明はいつも衝突してきた。ホメーロスの『オデュッセイアー』が文明の衝突を扱っていたし、ヘロドトスの『歴史』もペルシア戦争を通した東方イラン文明とギリシア文明の衝突を主題にしていた。大航海時代後の東インド会社以降の歴史はつねに文明の衝突だった。侵略や介入を国家の横暴とか失敗と見ないで、あえて文明の衝突と見ようというのも怪しい。そんな風に松岡正剛氏が述べていた。 . . . 本文を読む