かつて、イザヤ・ベンダサンの著作、『ユダヤ人と日本人』は大ベストセラーになった。この本は、書名も怪しいが、筆名は架空の人物名だが、実は山本七平だった。作家は筆名によって自分すら騙すものだ。ヴォルテールの『歴史哲学』も、歴史哲学とはいえないのに『歴史哲学』という書名になっている。この本は古代民俗誌とも古代風俗誌ともいうべき内容を扱った饒舌な報告だ。ヴォルテールが歴史哲学と銘打ったのも面白い。ヴォルテールが甘えたシレーのシャトレ夫人を念頭において綴ったものだ。そのシャトレ夫人に向けて「私が歴史の真実を語りかけているのだ」という芝居をしてみせた。そんな風に松岡正剛氏が述べていた。
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