今月14・15日の週末は、パコック盲学校を会場に、トレーニングセンターの2年生集中講義をした。今回が、年に4回予定している集中講義の最終回。
普段の授業見学・反省に加え、卒業論文指導や卒業式関連の日程確認など、卒業式目前らしい集中講義となった。集中講義で会う度に、学生の言動に責任感や教員らしさが満ち溢れてくるのを感じるのは気のせいだろうか?
同時に私が実感したのは、今回会場としてお借りしたパコック盲学校の大きな変化。
私がこの学校に初めて伺ったのは、2010年2月。初来緬直後に行った全国盲学校のあいさつ回りの時だった。病室を思わせるような部屋にベッドが並べられ、そこに何をするでもなくただ食事を与えられ、1日中のんびりすごしている学生の姿があった。それは、目的を持つでも希望を語るでもなく、ただ暖かく保護されている視覚障害者の姿で、自立とはほど遠い物だった。
あれから2年が過ぎた今。
この学校で教育実習をしている本センター2年生の学生は、ジャパンハートが日本政府外務省のご協力の下に建設した教室で、8人の学生を前に堂々と教員らしいリーダーシップを発揮して、指導に当たっていた。学生のレベルに合わせて、指導方法を最大限に工夫し、生徒もとても大きな声で生き生きと学んでいた。「マッサージは職業的・経済的自立ができる」と言う噂が学生の間でも広がり、最近は医療マッサージを学びたいと言う希望者が増えつつあるとのこと。
この学校の教室から視覚障害者のこんな元気で生き生きした声が聞こえてくるなど、2年前の様子からは想像もできなかった。私の教え子である教育実習生の指導の元、質問をしたり眼をキラキラさせて学ぶ生徒たちの姿はとても印象的だった。
これは、本プロジェクトや教育実習生の力だけではない。このプロジェクトに理解を示し、対応して下さった現地政府関係者や学校の協力にも感謝と共にしっかり目を向けたい。
やはり、ミャンマー国内どこに住んでいても、自分の家や出身地から最も近い盲学校にアクセスし、どこの学校に入学しても一定のクウォリティーが保証された教育や自立支援を受けられることが望ましい。そのような意味でも、医療マッサージや視覚障害教育に関する専門的な知識や技術を系統的・段階的に学んだ本センターの卒業生が、全国各地の盲学校で果たすべき役割は計り知れない。そんな彼らは、今年3月には卒業を迎え、ミャンマー国内全ての盲学校に赴任する。
今後は、公共性が極めて高い本プロジェクトの特性を考え、もっと包括的で安定したプロジェクト運営組織体制の充実が急務だと強く感じている。
塩崎