goo blog サービス終了のお知らせ 

52 Crescent Street

東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

破軍の星 (北方謙三)

2007年12月13日 | 本のこと
破軍の星 (集英社文庫)破軍の星 (集英社文庫)北方 謙三 集英社 1993-11売り上げランキング : 26384おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools

北方水滸伝にはまって以来、北方さんの歴史物を読み漁る日々。
本書はそのうちの1冊です。

ときは南北朝。建武の親政で後醍醐天皇から
16歳で陸奥守に任じられた公家の北畠顕家。
麒麟児と呼ばれた顕家が、陸奥平定において見せる
類稀な政治的手腕と軍事的センス。

読み始めは16歳の主人公かあ、若すぎて恋できない・・・
なんて思っていたら、顕家はそこいらの30男たちよりも
ずっと頭も心も働く男子でした。

話の中核は、国とは、国家とはどういうものかということ。
帝という軸を中心に武士や公家が政事を行う形がよいのか
常に覇者が国の中心となり国を治めるべきなのか。
三国志でも劉備と曹操が対立した国家感を持っていましたが
ここでもやはりこの対立はあった。

本書では、公家の北畠顕家は、その父親房からの影響もあり
天皇を中心とした国家のありようにはじめは疑問はなかった。
が、朝廷と足利尊氏を棟梁とする武士たちの抗争に陸奥から参戦したこと
またなぞの山の民、安家一族と関わりを持ったことで、少しずつ少しずつ
その国家感が変わっていく途中、短き生涯を閉じることとなってしまった。
彼があのまま生きていたら、陸奥は、日本は、また違った道を歩んだのだろうに。

歴史に「もし」はないといえども、もし・・・と考えずにはいられない。