【東洋大 9-8 国士舘大】
いままでの優勝とは、すべてが違っていた。東洋大は19日、東都大学野球の春季リーグ戦第7週・国士舘大2回戦に9対8で勝利、勝ち点「4」の9勝3敗と星を伸ばし、2季ぶり15度目のリーグ制覇を決めた。
昨秋、連覇が5で途切れ、“奪回”をテーマに臨んだシーズンを一言で表せば、苦しかった。第5週、中央大との天王山を落とし自力優勝がなくなった。「中央は強い。“もしかして”なんてないよ」(高橋昭雄監督)といつも強気な指揮官が白旗を揚げた。しかし、翌第6週、亜細亜大が中央大から勝ち点を奪う。しかも、2勝1敗と星をつぶし合い、消えた自力優勝が復活。ありえないと思っていた“もしかして”が現実となった。
そして迎えた18日の国士舘大1回戦。連勝すれば優勝が決まるという状況で、高橋監督は今季初めて藤岡貴裕(3年=桐生第一高)を先発させた。今季、3連続完封を含む4連続完投勝利など大車輪の活躍を見せた左腕に負けられない一戦でも8回1失点と好投し、チームを勝利に導いた。
舞台は整った。勝てば優勝。必勝を期して臨んだ試合だったが、初回に先発の乾真大(4年=東洋大姫路高)、2番手の藤田純基(2年=浜田高)が国士舘大の「目の前での胴上げは阻止したかった」(永田昌弘監督)という意地の前に計4失点。その裏、佐藤貴穂(4年=春日部共栄高)の3ランで1点差と追い上げたが、3回にも鹿沼圭佑(4年=桐生第一高)が2点を失う。再び1点差に追い上げた6回には、頼みの藤岡までもが2ランを浴び、3点差と突き放された。
それでも、ナインの気持ちは切れなかった。「何点取られても、ベンチは暗くなったりしなっかった。いつもはピッチャーに頼っていたので、今日は『野手で勝とう』とみんな思っていました」と佐藤が振り返ったとおり、「今日で決めてやる!」という思いがバットに乗り移った。7回、2死から4安打2四球を集中させ、一挙4点で試合をひっくり返した。
「4年生が勝ち方を知っていた」(高橋監督)
彼ら入学した直後の2007年春からの5連覇。その偉業の中で、「勝つためのすべ」は培われていた。そして、5位に沈んだ昨秋、負けることも知った。
初めて“追う立場”で迎えたシーズン。「連覇を続けていた頃より、勝ちにこだわる野球ができた」(鹿沼)。その勝ちへのこだわりが、
積み重ねたひとつひとつの勝ち星が、優勝を引き寄せた。
奇しくも、最後まで優勝争いを演じた中央大・高橋善正監督は言う。
「うちの選手が東洋に行って、何人レギュラーになれる? (直接対決で)1試合2試合勝てたって、リーグ戦では勝てないってことだよ」
9回2死。マウンドの藤岡の目に、熱いものがこみ上げてきた。
「これまでの優勝とは、全然違います」
この言葉に、今回の優勝の重みがぎっしりと詰まっている。
いままでの優勝とは、すべてが違っていた。東洋大は19日、東都大学野球の春季リーグ戦第7週・国士舘大2回戦に9対8で勝利、勝ち点「4」の9勝3敗と星を伸ばし、2季ぶり15度目のリーグ制覇を決めた。
昨秋、連覇が5で途切れ、“奪回”をテーマに臨んだシーズンを一言で表せば、苦しかった。第5週、中央大との天王山を落とし自力優勝がなくなった。「中央は強い。“もしかして”なんてないよ」(高橋昭雄監督)といつも強気な指揮官が白旗を揚げた。しかし、翌第6週、亜細亜大が中央大から勝ち点を奪う。しかも、2勝1敗と星をつぶし合い、消えた自力優勝が復活。ありえないと思っていた“もしかして”が現実となった。
そして迎えた18日の国士舘大1回戦。連勝すれば優勝が決まるという状況で、高橋監督は今季初めて藤岡貴裕(3年=桐生第一高)を先発させた。今季、3連続完封を含む4連続完投勝利など大車輪の活躍を見せた左腕に負けられない一戦でも8回1失点と好投し、チームを勝利に導いた。
舞台は整った。勝てば優勝。必勝を期して臨んだ試合だったが、初回に先発の乾真大(4年=東洋大姫路高)、2番手の藤田純基(2年=浜田高)が国士舘大の「目の前での胴上げは阻止したかった」(永田昌弘監督)という意地の前に計4失点。その裏、佐藤貴穂(4年=春日部共栄高)の3ランで1点差と追い上げたが、3回にも鹿沼圭佑(4年=桐生第一高)が2点を失う。再び1点差に追い上げた6回には、頼みの藤岡までもが2ランを浴び、3点差と突き放された。
それでも、ナインの気持ちは切れなかった。「何点取られても、ベンチは暗くなったりしなっかった。いつもはピッチャーに頼っていたので、今日は『野手で勝とう』とみんな思っていました」と佐藤が振り返ったとおり、「今日で決めてやる!」という思いがバットに乗り移った。7回、2死から4安打2四球を集中させ、一挙4点で試合をひっくり返した。
「4年生が勝ち方を知っていた」(高橋監督)
彼ら入学した直後の2007年春からの5連覇。その偉業の中で、「勝つためのすべ」は培われていた。そして、5位に沈んだ昨秋、負けることも知った。
初めて“追う立場”で迎えたシーズン。「連覇を続けていた頃より、勝ちにこだわる野球ができた」(鹿沼)。その勝ちへのこだわりが、
積み重ねたひとつひとつの勝ち星が、優勝を引き寄せた。
奇しくも、最後まで優勝争いを演じた中央大・高橋善正監督は言う。
「うちの選手が東洋に行って、何人レギュラーになれる? (直接対決で)1試合2試合勝てたって、リーグ戦では勝てないってことだよ」
9回2死。マウンドの藤岡の目に、熱いものがこみ上げてきた。
「これまでの優勝とは、全然違います」
この言葉に、今回の優勝の重みがぎっしりと詰まっている。