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『沐猴(もっこう)にして冠(かん・かんむり)す』
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猿に冠を被せるという意味で、外見は立派でも内実がそれに伴っていない人物のこと。小人物が相応(ふさわ)しくない立場に在ること。故事:「史記-項羽本紀」・「十八史略-西漢・高祖」 項羽が、都とするのに適した関中の地を去って故郷に帰りたがったのを、韓生(かんせい)が「猿が衣冠を付けたようなもので、天下を取れる人物ではない」と謗(そし)った。
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<松下幸之助一日一話> PHP研究所編
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会社の力を見きわめる
私は常に自分の会社の自己検討ということをしています。要するに新しい一つの仕事を始めるにしても、それは考えのうちに入れておくだけですぐには手をつけません。きょう手をつけるのは、きょうの自分の食欲に合ったものだけです。それ以上はいくらおいしくても食べません。それが自分の腹であれば、うまく調節できますが、事業欲は食べすぎても調節するものがありませんから、ただ自分の良識によって調節するしか方法がありません。だから常に自己反省をして、あわせて会社の総合力を検討し、それにふさわしい仕事をしていこうと心がけています。そこを見きわめることが、経営者として、非常に大事なことだと思います。