失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「CAFÉ1984」 木村恵子 1989年

2013-03-11 | 
木村恵子の4thシングル。

2nd「体重計とアンブレラ」で1st&2ndアルバムについて語ったので、今回は3rdアルバム『カフェ1984』(1989)について。

まずは、アルバムに先行してリリースされた同タイトルのシングル。

①CAFÉ1984
作詞:麻生圭子、作曲:木村恵子、編曲:佐橋佳幸
イントロがロバート・ワイアットの名曲「シー・ソング」(1974)そのまんま。その後のメロディ、アレンジとも「シー・ソング」を下敷きにユーミン風味を散りばめたような展開。ヨーロピアンなアンニュイを漂わせてみたのは分かるが、ワイアットの繊細さとゆらぎ感には遠く及ばない。このティアーズ・フォー・フィアーズのカヴァーと同罪。1989年に日本盤CD再発された『ROCK BOTTOM』を木村さんも聴いたのかな。

②クリスマスの椅子
作詞:麻生圭子、作曲:木村恵子、編曲:佐橋佳幸
ストリングスの入ったゴージャスなアレンジが光る、失恋クリスマスソング。曲はホーリーなムードなんだけど、「去年はあなたがいたの」と一年後のクリスマスに、想い出のレストランでひとり食事をする女性って設定はちょっと怖いぞ。


定価937円、中古で450円。
高かったし、アルバム持ってたからわざわざシングル買わなくてもいいのだが、つい。

アルバムはシングル2曲を含む全10曲すべて麻生・木村・佐橋のトリオによる作品。
ユーミン度80%の「知らん顔してあげる」、「さよならを教えて」+ユーミン(≒「まちぶせ」)な「明日は雨になる」、「酸っぱい経験」からスペクター成分を引いて、フェアーグラウンド・アトラクションに緩ーく演奏させたみたいな「空に返した誕生日」など楽しめるところもあるけど、全体としては薄口ユーミンの感が拭えない。中では「ラグジュアリー歌謡」でも言及されていた、アレンジがもろスタカンな一曲目「湾岸線はStarry Night」がバブリーなタイトルどおり弾けた仕上がりで最高。シングル切るならこっちでしょ、と24年後に言ってみる。


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