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2月15日、川崎で矢野さんのソロライブを久々に見た。
何をかくそう、矢野顕子は私が初めてコンサートを見に行ったアーティスト。そのときもピアノ弾き語りだった。確か84年頃、八王子の幼稚園でやった出前コンサート。靴をビニール袋に入れ、狭い会場に入った。ビニール袋がサワサワと音を立てているのを聞いた矢野さんが「さざなみみたいね」と笑っていたのを鮮明に覚えている。
その後も何度か矢野さんのライブには足を運んでいるけど、ピアノ一本で、というのはその幼稚園ライブ以来だったかも。
今回の会場、「ミューザ川崎シンフォニーホール」はその名のとおりクラシック仕様のホールで、舞台奥の頭上にはパイプオルガンが重々しい姿を見せている。私たちは二階の二列目で見たのだけど、かなりステージが近く感じた。一階の前列だったら近すぎて緊張しそう。舞台にはもちろんピアノ一台のみ。黒いドレスで颯爽と現れた矢野さんが弾き始めたのは「The Girl of Integrity」!86年の名盤「峠のわが家」の一曲目。久々にアナログをひっぱりだして聴いてみたが、井上陽水がコーラスで参加してたのは忘れていた。個人的にはこのアルバムと、前作「オーエス・オーエス」(1984)は死ぬほどよく聴いたので、一曲目から大変なことに。一曲目が終わったあと、頭の中で「DAVID」が流れ出したが、2曲目は「丘を越えて」。「ピヤノアキコ」の異名はダテじゃない。聴いているとクラクラするようなテクニックなのだが、技巧に走りすぎることなく、というより常にエモーションがテクを上回っているんだな、アッコちゃんは。
そして3曲目が今回の8cm、THE BOOMとの共演盤「それだけでうれしい」。
宮沢和史とのコラボでは「二人のハーモニー」(1995)という完全共作曲が有名だが、これはその3年前のシングル。矢野弾き語りヴァージョンはこのシングルの1ヶ月後に発売された「SUPER FOLK SONG」に収録。
①それだけでうれしい
作詩:矢野顕子、作曲:宮沢和史、編曲:矢野顕子、Produced by AKIKO YANO
正直言うと、90年代の矢野さんをあまり聴いてなかった。アルバムを買っても80年代のように繰り返し聴くことがなくなってしまった。音楽としてのクオリティが下がっている訳ではないので、趣味とか波長とかいう問題だと思うが、ひとつは宮沢和史の存在が引っかかったせいもあるのかもしれない。あとは包容力のありすぎる、宗教的な愛について歌われると、どうも引いてしまうってのもあった気がする。これもいい曲だとは思うけど、宮沢の歌い方がどうしても…矢野さんが歌うと曲のよさが分かる、という私にはよくあるパターンの曲。
②愛のかたまり
作詩・作曲:宮沢和史、編曲:THE BOOM、Produced by THE BOOM
こちらは矢野さんはタッチしていない。
③①のカラオケ
定価1000円、中古で20円。(5枚で100円コーナー)
その後は、ドアーズ(!)やくるりのカヴァーなど、ふりかえれば半分くらい他人の曲を歌っているのだけど、よく指摘されるように「他人の曲も矢野の曲」な換骨奪胎の妙技。そして、あの夜のハイライトは間違いなく「そこのアイロンに告ぐ」だった。これも「峠のわが家」の一曲。タイトルからしてアヴァンギャルドの香りの強い、緊張感漂う曲だったが、この日はオリジナルよりさらに自由かつ緻密に演奏され、終わったときの客席の反応も「うおおお!」と唸り声のような大拍手!矢野さんも「難しい難しい」と言いながら嬉しそう。続いて演奏された「右手」という曲も素晴らしかった!「エルレガーデン」というグループのカヴァーらしいが、全く知らなかった。まだ矢野さんは音源にしてないようだ。そのうち録音されるだろう。また、矢野さんに新しいアーティストを教えてもらったな。本編ラストは「Home Sweet Home」。なんと「峠のわが家」から3曲!
で、アンコールに「春咲小紅」&「ごはんができたよ」って、もう言うことないっす。途中のMCで「今日は新曲中心で、皆さんが期待してる曲があまりできない」みたいなことを言ってたが、あれはジョークだったの?「ごはんができたよ」の中間部(「義なるのもの上にも 不義なるもののうえにも」のあたり)は、いつ聴いてもグッとくる。ましてや生で。
行ってよかった。ソロは10年ぶりくらいだったかな?ちょっと忘れかけていた名曲たちを聴く感動は、あまり真面目にライブ通いしてなかったから大きかったのかもしれない。いつも思うのだが、日本の弾き語り界でアッコちゃんと勝負できるのは、エンケンしかいないだろう。ふたりとも、いつ見ても潔く闘っている姿勢に胸をうたれる。
セットリストは会場出口に掲示してあった。
1 The Girl of Integrity
2 丘を越えて
3 それだけでうれしい
4 N.Y.C.
5 People are Strange(The Doors)
6 Baby I Love You(くるり)
7 クリームシチュー
8 ヘビが鳴く夜
9 おんな
10 わたしのにゃんこ
11 銀色の道(ダークダックス)
12 架空の星座
13 そこのアイロンに告ぐ
14 右手(ELLEGARDEN)
15 ばらの花(くるり)
16 Home Sweet Home
EN
1 春咲小紅
2 ごはんができたよ
関連作
THE BOOM
手紙
矢野顕子
春咲小紅
すばらしい日々
丘を越えて
何をかくそう、矢野顕子は私が初めてコンサートを見に行ったアーティスト。そのときもピアノ弾き語りだった。確か84年頃、八王子の幼稚園でやった出前コンサート。靴をビニール袋に入れ、狭い会場に入った。ビニール袋がサワサワと音を立てているのを聞いた矢野さんが「さざなみみたいね」と笑っていたのを鮮明に覚えている。
その後も何度か矢野さんのライブには足を運んでいるけど、ピアノ一本で、というのはその幼稚園ライブ以来だったかも。
今回の会場、「ミューザ川崎シンフォニーホール」はその名のとおりクラシック仕様のホールで、舞台奥の頭上にはパイプオルガンが重々しい姿を見せている。私たちは二階の二列目で見たのだけど、かなりステージが近く感じた。一階の前列だったら近すぎて緊張しそう。舞台にはもちろんピアノ一台のみ。黒いドレスで颯爽と現れた矢野さんが弾き始めたのは「The Girl of Integrity」!86年の名盤「峠のわが家」の一曲目。久々にアナログをひっぱりだして聴いてみたが、井上陽水がコーラスで参加してたのは忘れていた。個人的にはこのアルバムと、前作「オーエス・オーエス」(1984)は死ぬほどよく聴いたので、一曲目から大変なことに。一曲目が終わったあと、頭の中で「DAVID」が流れ出したが、2曲目は「丘を越えて」。「ピヤノアキコ」の異名はダテじゃない。聴いているとクラクラするようなテクニックなのだが、技巧に走りすぎることなく、というより常にエモーションがテクを上回っているんだな、アッコちゃんは。
そして3曲目が今回の8cm、THE BOOMとの共演盤「それだけでうれしい」。
宮沢和史とのコラボでは「二人のハーモニー」(1995)という完全共作曲が有名だが、これはその3年前のシングル。矢野弾き語りヴァージョンはこのシングルの1ヶ月後に発売された「SUPER FOLK SONG」に収録。
①それだけでうれしい
作詩:矢野顕子、作曲:宮沢和史、編曲:矢野顕子、Produced by AKIKO YANO
正直言うと、90年代の矢野さんをあまり聴いてなかった。アルバムを買っても80年代のように繰り返し聴くことがなくなってしまった。音楽としてのクオリティが下がっている訳ではないので、趣味とか波長とかいう問題だと思うが、ひとつは宮沢和史の存在が引っかかったせいもあるのかもしれない。あとは包容力のありすぎる、宗教的な愛について歌われると、どうも引いてしまうってのもあった気がする。これもいい曲だとは思うけど、宮沢の歌い方がどうしても…矢野さんが歌うと曲のよさが分かる、という私にはよくあるパターンの曲。
②愛のかたまり
作詩・作曲:宮沢和史、編曲:THE BOOM、Produced by THE BOOM
こちらは矢野さんはタッチしていない。
③①のカラオケ
定価1000円、中古で20円。(5枚で100円コーナー)
その後は、ドアーズ(!)やくるりのカヴァーなど、ふりかえれば半分くらい他人の曲を歌っているのだけど、よく指摘されるように「他人の曲も矢野の曲」な換骨奪胎の妙技。そして、あの夜のハイライトは間違いなく「そこのアイロンに告ぐ」だった。これも「峠のわが家」の一曲。タイトルからしてアヴァンギャルドの香りの強い、緊張感漂う曲だったが、この日はオリジナルよりさらに自由かつ緻密に演奏され、終わったときの客席の反応も「うおおお!」と唸り声のような大拍手!矢野さんも「難しい難しい」と言いながら嬉しそう。続いて演奏された「右手」という曲も素晴らしかった!「エルレガーデン」というグループのカヴァーらしいが、全く知らなかった。まだ矢野さんは音源にしてないようだ。そのうち録音されるだろう。また、矢野さんに新しいアーティストを教えてもらったな。本編ラストは「Home Sweet Home」。なんと「峠のわが家」から3曲!
で、アンコールに「春咲小紅」&「ごはんができたよ」って、もう言うことないっす。途中のMCで「今日は新曲中心で、皆さんが期待してる曲があまりできない」みたいなことを言ってたが、あれはジョークだったの?「ごはんができたよ」の中間部(「義なるのもの上にも 不義なるもののうえにも」のあたり)は、いつ聴いてもグッとくる。ましてや生で。
行ってよかった。ソロは10年ぶりくらいだったかな?ちょっと忘れかけていた名曲たちを聴く感動は、あまり真面目にライブ通いしてなかったから大きかったのかもしれない。いつも思うのだが、日本の弾き語り界でアッコちゃんと勝負できるのは、エンケンしかいないだろう。ふたりとも、いつ見ても潔く闘っている姿勢に胸をうたれる。
セットリストは会場出口に掲示してあった。
1 The Girl of Integrity
2 丘を越えて
3 それだけでうれしい
4 N.Y.C.
5 People are Strange(The Doors)
6 Baby I Love You(くるり)
7 クリームシチュー
8 ヘビが鳴く夜
9 おんな
10 わたしのにゃんこ
11 銀色の道(ダークダックス)
12 架空の星座
13 そこのアイロンに告ぐ
14 右手(ELLEGARDEN)
15 ばらの花(くるり)
16 Home Sweet Home
EN
1 春咲小紅
2 ごはんができたよ
関連作
THE BOOM
手紙
矢野顕子
春咲小紅
すばらしい日々
丘を越えて
3月に出るCDも楽しみです。
なんか、若さ溢れるサウンドで新鮮です。
「右手」の詞いいですねえ。
こういう若手もちゃんとチェックしてる矢野さんってやっぱりスゴイ。
そしてとてもすばらしくて・・・さすが矢野さんですね。
私は行けないのですが、20日のレポートも期待してます!