デビュー前のビートルズのベーシスト、スチュアート・サトクリフの21年の生涯を描いた映画「バック・ビート Backbeat」のサントラ8㎝。Produced by Don Was。
Vo: Greg Dulli (The Afghan Whigs)
G: Thurston Moore (Sonic Youth)
G/Vo: Don Fleming (Gumball)
B/vo: Mike Mills (R.E.M.)
Dr: Dave Grohl (Nirvana)
①マネー Money(That's What I Want)
(Berry Gordy/Janie Bradford)
オリジナルはバレット・ストロング、1959年。90年代オルタナ界のスーパー・グループとも言えそうな混成バンドにリードヴォーカリストとして招かれたのは、アフガン・ウィッグズのグレッグ・デュリ。ザラッとした声は、ジョンに似てなくもない?サビのキメの「♪That's What I Want」をメロディに乗せず、ぶっきらぼうに力を抜いて処理しているのが、不良っぽくていいね。
ビートルズはセカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963)のラスト・ナンバーとして録音を残している。
②ディジー・ミス・リジー Dizzy Miss Lizzy
(Larry Williams)
オリジナルはラリー・ウィリアムズ、1958年。
耳障りなギターリフが延々と繰り返されるロックンロール・スタンダード。
サントラアルバムには未収録。ビートルズによるカヴァーは、5thアルバム『ヘルプ!』(1965)にラスト・ナンバーとして収録されている。
定価930円、中古で100円。
ジャケは主演のスチュアート・サトクリフ役のスティーヴン・ドーフと、そのガールフレンド、アストリッド・キルヒヘルを演じたシェリル・リー。
短い期間しかバンドに在籍しなかったスチュアート・サトクリフの貴重な録音が聴けるのが、写真左の『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』(1995)。ポールの自宅で録音された「ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー」、「ユール・ビー・マイン」、「カイエンヌ」の3曲でベース弾いてるらしい。録音悪すぎて萌える~ギター3本とベース、そしてヴォーカリストが二人って、いくらリハとはいえあんまりな編成なのに、聴かせるなあ。「ユール・ビー・マイン」でのポールのエルヴィス唱法、間奏でのジョンのお茶目な語りがいいんだ。スチュアートのポートレイトがジャケット右上に小さく載せられ、公式に「5人目」と認定。
じゃあ、ピート・ベストは?ジャケでは真ん中のシングル盤ジャケットのように見える写真でドラマーの顔だけが破られて見えなくなっている。その下からファースト・アルバム・ジャケットにも使われた写真のリンゴの部分が覗いているって仕掛け。これはピート・ベストに喧嘩を売っているとしか思えない挑発的なデザインに思える。そこはピートとしても何か仕返しを、と考えていたのだろう。2008年のThe Pete Best Bandのアルバム「Haymans Green」で破られた方の切れ端をジャケットに使ってみた。ちょっと気が効いてるよな。
ご存じのとおり、ピート・ベストは、レコードデビュー直前にビートルズを解雇されたドラマーとして有名。ジャケでは上記のような仕打ちを受けているが、このアルバムにはピートが演奏する「ラヴ・ミー・ドゥ」が収められている。
それでは、「ラヴ・ミー・ドゥ」3ヴァージョン聴き比べ。
1962年、ビートルズは3回「ラヴ・ミー・ドゥ」を録音している。3回とも異なるドラマーで。もちろん当時はすべて一発録りなので、歌もハーモニカもそれぞれ違ってる。
6月6日ヴァージョン(ドラム:ピート・ベスト)
なんだかとってもゆっくり。ポールとジョンのヴォーカルは硬くて、元気がない印象。まだまだレコーディングに慣れていなくて、緊張していたのかな。陰気な曲だから仕方ないか。中間部では少しテンポアップしたりする。2分31秒の最長ヴァージョン。前述のように『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』(1995)で発掘されたレアトラック。
9月4日ヴァージョン(ドラム:リンゴ・スター)
ピートのドラムと比べると、リズムが軽やか。跳ねる感じが重いAメロにアクセントを加えている。イントロのベースは迫力があるし、ふたりの声もよく出ているな。このテイクがザ・ビートルズのデビュー・シングルとして発表された。シングルのみのややレアトラックだったが、編集盤『パスト・マスターズ Vol.1』(1988)に収録されて、普通に聴けるようになった。マスター・テープは破棄されたため、シングル盤を音源としてCDに収録しているようだ。
9月11日ヴァージョン(ドラム:アンディ・ホワイト)
ジョージ・マーティンが「リンゴのドラムに満足しなかった」ため、一週間後にセッション・ミュージシャンのアンディ・ホワイトを呼んで録り直した。このテイクがデビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』(1963)に収録された。ドラムはほぼリンゴのプレイをなぞっていて、それほど印象は変わらない。リンゴはタンバリンを叩いてるらしいが、心中を察すると胸が痛むね。結局のところ、10月5日にリリースされたシングルはリンゴが叩いた9月4日のテイクだったんだから、ジョージ・マーティンも「こりゃ大差ないな」と気づいたのだろう。9月11日にリンゴを傷つけてしまったことに対する謝罪の気持ちもあったのかもしれない。それでもアルバムには11日のテイクを入れたのはプロデューサーの意地?
Vo: Greg Dulli (The Afghan Whigs)
G: Thurston Moore (Sonic Youth)
G/Vo: Don Fleming (Gumball)
B/vo: Mike Mills (R.E.M.)
Dr: Dave Grohl (Nirvana)
①マネー Money(That's What I Want)
(Berry Gordy/Janie Bradford)
オリジナルはバレット・ストロング、1959年。90年代オルタナ界のスーパー・グループとも言えそうな混成バンドにリードヴォーカリストとして招かれたのは、アフガン・ウィッグズのグレッグ・デュリ。ザラッとした声は、ジョンに似てなくもない?サビのキメの「♪That's What I Want」をメロディに乗せず、ぶっきらぼうに力を抜いて処理しているのが、不良っぽくていいね。
ビートルズはセカンドアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(1963)のラスト・ナンバーとして録音を残している。
②ディジー・ミス・リジー Dizzy Miss Lizzy
(Larry Williams)
オリジナルはラリー・ウィリアムズ、1958年。
耳障りなギターリフが延々と繰り返されるロックンロール・スタンダード。
サントラアルバムには未収録。ビートルズによるカヴァーは、5thアルバム『ヘルプ!』(1965)にラスト・ナンバーとして収録されている。
定価930円、中古で100円。
ジャケは主演のスチュアート・サトクリフ役のスティーヴン・ドーフと、そのガールフレンド、アストリッド・キルヒヘルを演じたシェリル・リー。
短い期間しかバンドに在籍しなかったスチュアート・サトクリフの貴重な録音が聴けるのが、写真左の『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』(1995)。ポールの自宅で録音された「ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー」、「ユール・ビー・マイン」、「カイエンヌ」の3曲でベース弾いてるらしい。録音悪すぎて萌える~ギター3本とベース、そしてヴォーカリストが二人って、いくらリハとはいえあんまりな編成なのに、聴かせるなあ。「ユール・ビー・マイン」でのポールのエルヴィス唱法、間奏でのジョンのお茶目な語りがいいんだ。スチュアートのポートレイトがジャケット右上に小さく載せられ、公式に「5人目」と認定。
じゃあ、ピート・ベストは?ジャケでは真ん中のシングル盤ジャケットのように見える写真でドラマーの顔だけが破られて見えなくなっている。その下からファースト・アルバム・ジャケットにも使われた写真のリンゴの部分が覗いているって仕掛け。これはピート・ベストに喧嘩を売っているとしか思えない挑発的なデザインに思える。そこはピートとしても何か仕返しを、と考えていたのだろう。2008年のThe Pete Best Bandのアルバム「Haymans Green」で破られた方の切れ端をジャケットに使ってみた。ちょっと気が効いてるよな。
ご存じのとおり、ピート・ベストは、レコードデビュー直前にビートルズを解雇されたドラマーとして有名。ジャケでは上記のような仕打ちを受けているが、このアルバムにはピートが演奏する「ラヴ・ミー・ドゥ」が収められている。
それでは、「ラヴ・ミー・ドゥ」3ヴァージョン聴き比べ。
1962年、ビートルズは3回「ラヴ・ミー・ドゥ」を録音している。3回とも異なるドラマーで。もちろん当時はすべて一発録りなので、歌もハーモニカもそれぞれ違ってる。
6月6日ヴァージョン(ドラム:ピート・ベスト)
なんだかとってもゆっくり。ポールとジョンのヴォーカルは硬くて、元気がない印象。まだまだレコーディングに慣れていなくて、緊張していたのかな。陰気な曲だから仕方ないか。中間部では少しテンポアップしたりする。2分31秒の最長ヴァージョン。前述のように『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』(1995)で発掘されたレアトラック。
9月4日ヴァージョン(ドラム:リンゴ・スター)
ピートのドラムと比べると、リズムが軽やか。跳ねる感じが重いAメロにアクセントを加えている。イントロのベースは迫力があるし、ふたりの声もよく出ているな。このテイクがザ・ビートルズのデビュー・シングルとして発表された。シングルのみのややレアトラックだったが、編集盤『パスト・マスターズ Vol.1』(1988)に収録されて、普通に聴けるようになった。マスター・テープは破棄されたため、シングル盤を音源としてCDに収録しているようだ。
9月11日ヴァージョン(ドラム:アンディ・ホワイト)
ジョージ・マーティンが「リンゴのドラムに満足しなかった」ため、一週間後にセッション・ミュージシャンのアンディ・ホワイトを呼んで録り直した。このテイクがデビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』(1963)に収録された。ドラムはほぼリンゴのプレイをなぞっていて、それほど印象は変わらない。リンゴはタンバリンを叩いてるらしいが、心中を察すると胸が痛むね。結局のところ、10月5日にリリースされたシングルはリンゴが叩いた9月4日のテイクだったんだから、ジョージ・マーティンも「こりゃ大差ないな」と気づいたのだろう。9月11日にリンゴを傷つけてしまったことに対する謝罪の気持ちもあったのかもしれない。それでもアルバムには11日のテイクを入れたのはプロデューサーの意地?
いかにも90年代ってカンジのタイトな演奏もなかなか良かったような。
帰宅したら久しぶりに聴いてみようと。
「Dizzy Miss Lizzy」が未収録というのがちょっとショックだな。
そろそろ、とは思ってるのですが。
「Dizzy Miss Lizzy」いいんですよ。なんで未収録なんだろ。再発があればボートラに入るでしょうが、90年代サントラの再発なんて、あと10年は先かなあ。