「サーフィンU.S.S.R.(Surfin' U.S.A.)」 上々颱風 1990年

上々颱風（しゃんしゃんたいふーん）の2ndシングル。

①仏の顔もIt's All Right
作詞・作曲：紅龍、編曲：上々颱風
レゲエではじまり、演歌調、お祭りビート、などなど目まぐるしくリズムチェンジを繰り返すナンバー。リードヴォーカルの女性ふたりが沖縄民謡だけでなく、様々なスタイルで場面場面を異なる表情で歌い分けている。

②サーフィンU.S.S.R.(Surfin' U.S.A.)―さらば息子は愚連隊―
(Chuck Berry-Brian Wilson)、日本語詞：紅龍、編曲：上々颱風
チャック・ベリーの「Sweet Little Sixteen」に似ている、というよりまったく同じ曲なので、ベリーのクレジットが入ってる。もちろん、ザ・ビーチ・ボーイズ1963年のビッグヒットのカヴァー。「U.S.S.R.」といえばザ・ビートルズの「Back in the U.S.S.R.」だが、このタイトルは、またもやチャック・ベリーの「Back in the U.S.A.」に由来する。さらにポールはこの曲をビーチ・ボーイズのパロディとして書いた、と明言している。コーラスは確かにビーチ・ボーイズ風。そんな３B（Berry, Beach Boys, Beatles）円環構造のミッシング・リンクともいうべきタイトルを見つけちゃったのが上々颱風。
リズムはギャロップ（奔馬調）。まあ、騎兵隊が迫りくるような、コサックダンスを踊りたくなるような。歌詞は当然、ソ連関連で埋めつくされ、「歌えショスタコ―ビッチ　赤の広場を」「帰れポチョムキンへ　錨を上げろ」「お肉の足りない　今日のボルシチ」などなど、微妙に浅い感じがしつつも、ペレストロイカに沸くソ連と世界の熱気を伝えている。メインヴォーカルの裏でボヤキ漫談のようにつぶやく庶民の声は訛りきつめで。曲中で「ガンバレ大統領」と呼びかけられているのはもちろんミハイル・ゴルバチョフのこと。この曲がリリースされた1990年にソ連の最初で最後の大統領となり、ノーベル平和賞を受賞した。

定価800円、中古で100円。
Joel A. Millerとクレジットされているのはジャケ担当のプリミティブ・スタイルの画家さんだろう。