失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「わな」 キャンディーズ 1977年

2010-11-08 | アイドル系
キャンディーズの16th&15thシングルA面曲をカップリング。おなじみ「Platinum Single SERIES」の1枚として1989年に8cm化された。

①わな
作詞:島武実、作曲・編曲:穂口雄右
キャンディーズ、最後から2番目の16thシングル。解散へのカウントダウンの中、はじめてミキがセンターを務めたシングル曲である。イントロの印象的なギターリフ、ドラマチックで緊張感のあるメロディとアレンジ。そして3人の完璧なハーモニーが素晴らしい。3人の中では影のあるミキの声が曲にフィットしているのはもちろん、バックに回ったラン・スーのコーラスの色気のあること!当時9歳だった私にとっては、いつも面白いこと言って笑わせてくれた明るいお姉さんたちが、いきなり大人な表情を見せてドキッ、みたいな印象だった。「…だったかな」がキーフレーズであることは間違いない。サビで唯一ミキがひとりで歌うフレーズ、「♪あいつはしくじった~」は当時は意味不明だったなあ。今もじつはよく分らないけど。そしてタイトルが「わな」。大人なドラマが展開されてるのだよ、たぶん。
ところで、ラストシングルのタイトル「微笑がえし」という言葉が、この曲の中に登場していたことにさっき気づいた(「わな」歌詞中では「頬笑み返し」)。その「微笑がえし」の詞には「わな」(歌詞中では「罠」)を含む過去のヒット曲のタイトルが織り込まれているので、円環構造になる。こんなふうにグループの最期に、ささやかな「永遠」を忍びこませたのは、阿木燿子の仕業か。
この曲は、キャンディーズの初期の代表作「年下の男の子」「春一番」を書いた穂口雄右の復帰作でもある。解散を前に黄金期のライターをもう一度、みたいなノスタルジー以上のものを書いてみせた穂口氏の作家魂に拍手。彼の熱い想いが伝わってくる原稿は必読。プロデューサーから「キャンディーズは最近とっても綺麗になりました。キャンディーズがもっと綺麗に見える作品をお願いします」と依頼されてサラッとこんな曲書いちゃう穂口氏も凄いが、ドラムレスでレコーディングしたメンバーも、あとでドラムを入れた林立夫もすげー。昭和歌謡の底力を見せつけるようなエピソード満載の奇跡のトラック、それが「わな」なのだ。

②アン・ドゥ・トロワ
作詞:喜多條忠、作曲:吉田拓郎、編曲:馬飼野康二
こちらが衝撃の解散宣言後、初のシングルとなった15th。13th「やさしい悪魔」に続く吉田拓郎作品だ。イージーリスニング調のスムースなアレンジに、Bメロのずり上げるような拓郎らしいメロディがミスマッチ。中盤の「♪アン・ドゥ・トロワ」の部分でつま先をバレエ風に動かすところが好きだった(さっきYouTube見てて急に思い出した)。

定価1000円、中古で52円。
ジャケットは「わな」7インチシングルの写真を使用。寝ぐせ風のニュアンスヘアに、パステルカラーのネグリジェ。3人並ぶとやっぱりランの色気が突出しているなあ。


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