私は私のままでバアさんになる。
幼くして親の顔色をうかがい、結婚してからは相手の調子に合わせ
子供のために髪ふり乱して母親をやって、とにかく世間様に何とか
顔を向けようと努力して来た。もういいじゃんか。
子供が成人したら、生涯たった一度だけ好きに生かせていただく。
たった一つ私が今から心がけているのは、物欲を持たないということだけで、
死んだ人間が残すものはそれがわずかな金でも、身のまわりのものでも
始末がやっかいである。私が死んだと同時に、私のまわりのどんな小さな
紙切れでもパンツでもシュワ-ッと消えて地面に吸い込まれて行ったら
どんなにいいだろうと思う。
女の孤独ってのは一つ所にじっとうずくまっている孤独である。
窓から見える風景は変わらない。そこで地面に根を生やして
動けない孤独である。母を待ち子を待ち続け死を待つ孤独である。
男のようにひっくり返ったら死ぬかもしれぬなどという悲壮感に
うっとりしていたら困るのである。
初めから地面にはいつくばって悲壮感などというかっこのいいものは
持てないのである。
共感する所がいっぱいあります。爆笑する所もいっぱいあります。