2021年2月16日。ベラルーシ・ジャーナリスト協会に今朝、治安部隊が家宅捜査のためにやってきました。ベラルーシの言論の自由がおびやかさなれないか、心配です。もうとっくにおびやかされているという意見もありますが、ジャーナリスト協会そのものに捜査の手が入るというのは、由々しき事態だと思います。
また協会所属のジャーナリストの自宅にも朝から家宅捜査が始まりました。例えば、ベラルーシ・ジャーナリスト協会副会長の自宅には朝7時半にドアのインターフォンがなり、玄関を開けると治安部隊が「手を上げろ!」と叫びながら家の中になだれ込んできました。しかし、副会長の幼い子ども3人の姿を見ると、治安部隊は大声を上げるのはやめ、家宅捜査を始めました。それが3、4時間続き(ということは午前11時ぐらいまで続いたということでしょう。)ゴミ箱はもちろん冷蔵庫の中まで調べられ、ノートブック型PCと携帯電話が押収されました。子どもの携帯すら押収されたそうです。
社会秩序を乱す行為の準備をしていた、というのが家宅捜査の理由だそうですが、副会長は身に覚えがないし、それを証明する人もいないそうです。(ベラルーシ・ジャーナリスト協会の会員で、記事を書いたことがあります、というだけで、社会秩序を乱す行為の準備をしていたということになるんでしょうか?)
他の同会員ジャーナリストの自宅にも一斉に家宅捜査が行われ、一人の証言によると、女性(つまり同居している母親や妻)ですら、床にうつ伏せに伏せて動かないよう強制されたそうです。何だか凶悪な殺人犯の身柄拘束シーンに近いです。
このように自宅が家宅捜査されたジャーナリストは全国で20人以上になるそうです。
現在ベラルーシ・ジャーナリスト協会の事務所の入り口ドアは警察によって封印されています。
また人権擁護団体「ビアスナ」も捜査対象になりました。この団体は主に政治思想犯の解放を求めて活動している団体です。この団体が「良心の囚人」と認めると、救済対象リストに入ることができます。逮捕された日本人男性もこの団体が認める救済対象リストに入っています。
ビアスナの活動家の一人は逮捕され、自宅が家宅捜査された際、玄関ドアが破壊されたそうです。他の一人は、パソコンやスマホを押収されたほか、財布の中の現金やカードまで押収されました。海外から不正に活動資金を受け取っているのでは?という容疑がかかっているのでしょう。
他にも、死刑制度反対運動家の男性が所在不明、ラジオ・エレトロニクス企業従業員の労働組合に家宅捜査、組合長など幹部の所在不明、反政府活動家とその支援者(ボランティア)の自宅が家宅捜査、さらにはボランティアの親の自宅まで家宅捜査・・・。
今日、すでにヨーロッパ・ジャーナリスト連盟が、ベラルーシ政府に対して、ベラルーシのジャーナリストの自宅やベラルーシ・ジャーナリスト協会への捜査を早急に停止するよう求める声明を発表しました。
同じくアムネスティ・インターナショナルがツイッターで、ベラルーシ政府に対して、今日の捜査後、逮捕したベラルーシ国内の人権擁護活動家を即刻釈放するよう求めました。
EUの報道官も、今日の一斉家宅捜査についてベラルーシ政府への非難声明、そしてさらに今後、ベラルーシへの制裁を全会一致で進めていく声明をツイッターで表明しました。
昨年8月に、反政府デモに参加していたとされ、身柄拘束された後、適切な医療も受けられず脂死亡したビホルさんの死因について、原因調査を遺族が調査委員会(捜査当局)に訴えていたものの、調査そのものを行うことを今日、正式に拒否されました。遺族に電話一本で通知されました。