貴州省黎平県のあるトン族の村で行われたトン族大歌の時の写真です。貴州省のトン族や苗族が住む少数民族の村では、春節の頃は無論の事ですが、田植えが終わった後、秋の取り入れが終わった後の農閑期等時期には、必ずの様に大きな祭りが行われます。
黎平県は、貴州省の中でも特に、トン族が多い事で有名なところです。トン族の村で行われるトン族の大歌は、トン族の闘牛と共に大変有名で、トン族大歌は、これだけの人数で歌われるのにも関らず指揮者と云うべき人が居ない事でも有名です。
黎平県は、貴州省の中でも、特にトン族が多い。祭りが行われるのは全て旧暦(農業暦)です。从江県で毎年11月末に行われる藘笙節は農業歴でありませんが、それは云ってみれば村おこしの為に、観光の為に新しく始められた祭りだからなのです。伝統的に続く祭りは、必ず旧暦で表示されます。
数百名規模で歌われる場合にも、トン族大歌は指揮者が居ない事でも有名です。以前は歌の種数も数百とあったとの事ですが、廃れた歌も多いとの事です。労働の際に歌われる歌、収穫の喜びを歌った歌、恋の歌等色々な場面で歌われる歌も沢山あったそうですが、今ではかなり減ったとの事です。これ様な写真を見ると、何故トン族大歌と云うか一目瞭然で、正しく大歌と云えます。
春節頃にも黎平県のトン族の村では、盛大な祭りが至る所で行われるのですが、大変に寒い思いをしなけれなりません。寒さとの戦いですが、それさえ我慢すれば良いのですが、かなりきついです。この時は秋だったので気候も良く、東京の10月初めの気候でとても快適でした。
写真を撮った際には、極力同じ村を訪れ撮った写真を渡すようにしているのですが、この村は2012年に訪れた後、行っておりませんで、出来れば今年秋に再度訪問し、村人に渡したいと思っています。この時泊まった家が、偶々村長の家でしたので、当然村人は知っているので出来れば渡したいと考えているところです。
最近では国慶節に合わせて祭りも行われますが、それは本来の祭りと云うより、観光客を呼ぶために時期をずらした為です。若い男性が、少ないのは、村を離れ出稼ぎ等行っているからです。
トン族も苗族等同様に文字を持っていません。別の村ではトン族の若い女性が、トン族の歌をピンインで表記して歌を覚えていました。トン族も文字を持たないので、先祖代々伝わる歌を受け継いだ人が亡くなる等すると消えてしまうそうです。近年は、無論保存のための取り組みもされているとの事。
この村ではトン族大歌の保存運動にも熱心で、若い女性達にトン族大歌を教えるクラスもあるとの事でした。
私が、この村を訪れたのは2012年の秋の事ですが、その頃は貴陽市から黎平県に通じる高速道路も出来ておらず、先ず、貴陽市から凱里市向かい場合には一泊して、その後凱里市から黎平県に辿り着き、更に、この村に行くと云う様な状態でした。一日では辿り着く事が出来ませんでした。
現在では、貴陽市から榕江県迄の高速鉄道も開通して、最短ではこの村へも、5,6時間で行くことが出来ます。観光客も爆発的に増えて居る様ですので、私としては良い時期に、この村のトン族大歌を見る事出来たと思います。