●新築のグリーンハウスは月の眺め
昭和63年3月。待ちわびた入居可能日の連絡が不動産業者から来ると、進めていた引っ越し準備のフィニッシュに向けて作業を進めた。とは言っても、入居して半年たらずで暴風雨でトタン屋根がめくれ上がり、応急的補修後も天井の二三か所から雨漏りが続いていた部屋なので、それ以来家財道具などの新調は控えていたため、荷物は多くなかった。
一人暮らしとしては大物の部類に入るベッドはバラして、コンパクトな単身向けツードア冷蔵庫は横にすることで、愛車のランサーEXに積み込むことができたので、業者や友人に応援を頼むことも要せず、引っ越し解禁の日から仕事終わりになると夜な夜な少しずつ荷物の移送をしたものだ。
新たな住まいはの名は「グリーンハウス」。ありがちだなぁと思いつつ、拘りの無い私は、書類等に住所を書く際に面倒くさくなければ良かったので、何ら頓着しなかった。しかし、今になって思うと何がグリーンだったのか、ハタと思う。このアパートは現在も実在しているので、何気にグーグルマップで見てみると、屋根が緑色だ。これは上から見ないと分からない。30年も経った今更ながら「そうだったのか」と一人で膝を打った。
それにしても、考えてみると、新築の住まいに最初の住人として入居するのは初めてのことだった。大学時代はボロい下宿から始めて先輩のアパートの後釜に入り、就職したら古びた鉄筋造の狭い四畳半、そして、川沿いの防風にトタン屋根が飛ばされた安普請の古アパートと住み継いできた。引っ越し荷物を運び入れる都度、新築独特の匂いというものが新鮮に感じられたし、設備のなにもかもが新しくて気分が高揚したものだ。
ただ、先日まで、雄大な信濃川河口近くの流れが真下に見えるほどの河川敷に建っていた「水明荘」の眺めの開放感やら夜景の美しさなどを堪能した生活をしていたことを考えると、住宅街のど真ん中に肩を狭くするように建つ新居は、時には息苦しい気持ちになるかも知れないなと考えていた。
このアパートは二階建ての二階部分に四部屋で、真ん中に入口が向き合う形で全て角部屋という配置になっていた。私の部屋では八畳の居間の二辺に窓が設けられていたのだが、一方は一畳ほど分のサンルームとなっていたので、残る窓に寄せてベッドを配置した。事務机やオーディオなどとの位置関係から自ずからそういうことになったのだ。
ところがこれが結果して良かった。就寝しようと消灯して寝転び、窓から外の夜空を眺めてみると、丁度雲が無い星空の中で、何と月が窓枠の真ん中にとても雅な感じで見えるのだ。
部屋の飾りつけなどの人工的な細工ではなく、ただの自然がもたらしてくれるこうした恩恵は何かとても幸運なものに思えてならなかった。なんの担保も無いが幸先が良さそうだいう思いで、新しいアパートでの生活が始まった。
一人暮らしとしては大物の部類に入るベッドはバラして、コンパクトな単身向けツードア冷蔵庫は横にすることで、愛車のランサーEXに積み込むことができたので、業者や友人に応援を頼むことも要せず、引っ越し解禁の日から仕事終わりになると夜な夜な少しずつ荷物の移送をしたものだ。
新たな住まいはの名は「グリーンハウス」。ありがちだなぁと思いつつ、拘りの無い私は、書類等に住所を書く際に面倒くさくなければ良かったので、何ら頓着しなかった。しかし、今になって思うと何がグリーンだったのか、ハタと思う。このアパートは現在も実在しているので、何気にグーグルマップで見てみると、屋根が緑色だ。これは上から見ないと分からない。30年も経った今更ながら「そうだったのか」と一人で膝を打った。
それにしても、考えてみると、新築の住まいに最初の住人として入居するのは初めてのことだった。大学時代はボロい下宿から始めて先輩のアパートの後釜に入り、就職したら古びた鉄筋造の狭い四畳半、そして、川沿いの防風にトタン屋根が飛ばされた安普請の古アパートと住み継いできた。引っ越し荷物を運び入れる都度、新築独特の匂いというものが新鮮に感じられたし、設備のなにもかもが新しくて気分が高揚したものだ。
ただ、先日まで、雄大な信濃川河口近くの流れが真下に見えるほどの河川敷に建っていた「水明荘」の眺めの開放感やら夜景の美しさなどを堪能した生活をしていたことを考えると、住宅街のど真ん中に肩を狭くするように建つ新居は、時には息苦しい気持ちになるかも知れないなと考えていた。
このアパートは二階建ての二階部分に四部屋で、真ん中に入口が向き合う形で全て角部屋という配置になっていた。私の部屋では八畳の居間の二辺に窓が設けられていたのだが、一方は一畳ほど分のサンルームとなっていたので、残る窓に寄せてベッドを配置した。事務机やオーディオなどとの位置関係から自ずからそういうことになったのだ。
ところがこれが結果して良かった。就寝しようと消灯して寝転び、窓から外の夜空を眺めてみると、丁度雲が無い星空の中で、何と月が窓枠の真ん中にとても雅な感じで見えるのだ。
部屋の飾りつけなどの人工的な細工ではなく、ただの自然がもたらしてくれるこうした恩恵は何かとても幸運なものに思えてならなかった。なんの担保も無いが幸先が良さそうだいう思いで、新しいアパートでの生活が始まった。
(「新潟独り暮らし時代77「新築のグリーンハウスは月の眺め」」終わり。仕事遍歴を少し離れた独り暮らし時代の思い出話「新潟独り暮らし時代78「グリーンハウスへの帰り道で」」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
☆新潟久紀ブログ版で連載やってます。
①「へたれ県職員の回顧録」の初回はこちら
②「空き家で地元振興」の初回はこちら
③「ほのぼの日記」の一覧はこちら
➃「つぶやき」のアーカイブスはこちら
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
☆新潟久紀ブログ版で連載やってます。
①「へたれ県職員の回顧録」の初回はこちら
②「空き家で地元振興」の初回はこちら
③「ほのぼの日記」の一覧はこちら
➃「つぶやき」のアーカイブスはこちら