新潟久紀ブログ版retrospective

地域農政推進課14「他県調査に行くべし(その5)」編

●他県調査に行くべし(その5)

 予定時間が押す中で昼食を摂れないまま智頭駅から因美線で鳥取駅に戻り、"特急スーパーおき"で松江駅へ。夕方に社団法人島根県物産協会総務課担当と面談して農林水産の特産品を活かした観光戦略について話を伺う。観光土産然とした商品から本場の本物を求める志向の強まりについての話が印象に残る。正に明日朝に伺う先で聞きたい論点であり思いを巡らせながら松江市内のホテルに宿入りした。
 翌午前に松江市役所産業振興課にて民間商社から転身した担当職員から農林水産の特産品の製造販売戦略について話を聞く。民間ならではの役所の縦割りを貫く行動力に感嘆した。首長からの信認を受けた職員がコーディネーターとして内外の企画調整に飛び回る。首長からだけでなく役所内の各部署から信頼されている様子が面談中に声を掛けてくる職員達の雰囲気から伝わる。如何に優秀な人材でも役場内のスタッフから信頼されなければ結果して良い仕事にはならないという。"誰かさん"に聞かせたい話だなあと思うのだった。
 役場内での面談に区切りがつくと、「折角だから体験の現場を見てみましょう」ということになり、街中に連れ出された。役所から歩くこと数分「青山商店」に着くと、そこが「本場の本物」を売る店として誘客に貢献していると紹介された。
 中に入ると中年の店主夫婦がお出迎え。店内を見ると魚肉の練り製品製造販売店だ。松江に古くから伝わるトビウオの身を使ったちくわのような形の練り製品である「あご野焼き」を伝統の純粋な製法を守って手作りを続けるているという。一時期、目先の儲け狙いで模造品が出回り産地としての評判を落とす中でも伝統を守り抜くことで生き続けていることで、一般社団法人本場の本物ブランド推進機構において全国で僅か50程度の認証の一つとなっている商品なのだ。
 当時は予約をするとトビウオの切り身を練るところから鉄棒に擦りつけて炭火で焼いて製品にするまでを体験させてもらえた。本場の本物を作る体験は観光地としての誘客にも寄与していたようだ。どうぞやってみてくださいと促されて私も専用の金属ヘラを手にして魚の白身を見よう見まねで練らせていただいた。不器用な私の仕草に店主も私も笑顔と冗句が飛び交う。
 なんとも和やかで楽しいひと時だ。ああ、普通の人でも簡単にやれそうでいてやってみると結構コツが必要で、奥の深さを感じる体験は魅力的だなあと感じ入る。新潟でのグリーン・ツーリズムでの体験項目にも工夫の余地があるかも知れない。現場で実際に体感することによる刺激で色々と発想が巡るのが現地視察の醍醐味だ。

(「地域農政推進課14「他県調査に行くべし(その5)」編」終わり。「地域農政推進課15「他県調査に行くべし(その6)」編」に続きます。)
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