新潟久紀ブログ版retrospective

【連載21】空き家で地元貢献「不思議なおばちゃん達と僕(その21)」

●不思議なおばちゃん達と僕(その21) ※「連載初回」はこちら

 翌土曜日に母と僕は市内の大きな総合病院におばちゃんの病室を尋ね、具合や気分などを尋ねたりする一通りを終えると、ゆっくりとした口調と穏やかな表情を意識して本題に入った。退院が近いと聞いているが、このまま自宅に戻ってくると年少のおばちゃんと僕の母と合わせた老婆三人が共倒れするので、近くの施設で介護を受けながら療養してみてはどうかという提案だ。想像通り、僕の母から話しを聞いた途端は、急に困ったような怒ったような表情となり、どうしてもそうしないと駄目なのか、何とか家に戻ってやっていけると思うのだが…と言う。
 僕の母は答える。「気丈にしてくれるのは嬉しいが、おばちゃん自身はそのつもりが無くとも、現実的には私にあれこれと負担がかかる。今回の入院騒ぎそのものもその例だ。意識を無くした真ん中おばちゃんの救急入院の手配をしたばかりか、残された年少おばちゃんの生活の面倒を今日までずっと見てきている。こんな事が頻発すればとても私は身心がもたない」などと。
 頑固な真ん中のおばちゃんも、この度の自身の入院騒ぎは相当こたえていたようで、母の言う事は響いたようだ。それでも不本意であることは滲ませいて、僕の母に迷惑が掛からない入院前のような体調や身体の動きが回復するまでの間ということなら、施設に行くのも我慢するという。僕と母はそれでいいと話した。有料老人ホームなので月々の負担は結構な金額だ。本当に真ん中のおばちゃんが"完全復活"してくれるようであれば在宅での生活が望ましいのだ。
 その日のうちにケアマネさんに、真ん中のおばちゃんが市内の有料老人ホームへの入所を承諾したことを伝え、施設職員による面談調査日程と入所を退院と同時にできるようするための関係者との調整をお願いした。有料施設の方もできるだけ空き部屋の期間を短くしたいものだから話しはトントンと進む。施設職員による病室における真ん中のおばちゃんの面談調査の日程が1月23日に組まれ、僕から病院側へこの状況を伝えて、退院の日を今後決まる施設入所日に合わせてもらうようにお願いした。高齢者世帯の増える中で退院後の安全安心な受け皿の調整が最近の病院では大きな仕事になっているようで、状況の理解が早い。
 不本意ではあっても一度覚悟を決めると真ん中のおばちゃんはしっかりしている。施設職員による面談に同席した母から聞くと、相手が誰であろうが相変わらず物言いはぶっきらぼうではあったが、質疑にはそれなりに応答して、予定通り無事終了したという。入所対象としては問題なさそうで、後日入所の正式決定と転入可能日の伝達が母へと伝達される模様だ。あとは、年少おばちゃんが40km離れた施設への入所に同意すれば、僕の母が老々介護に振り回されて潰されることは避けられる。拒否の意向を示した面談調査から数日たっているし少しは本人の考えも変わっているかもしれない。根拠もなく希望的観測を思い描いた僕であった。
 事前の入所申し込み手続きに際して、施設を訪れた僕と母が真ん中のおばちゃんの状況を詳しく説明しておいたこともあり、1月23日に本人との面談を終えると翌日には1月28日に入所可能だとの連絡が入るという迅速さだ。改めて確定した日程を病院に伝え、同日付で退院することを決定する。当日は僕がどうしても仕事が休めず移送を手伝えないのだが、せっかくの機会をずらしてはならない。母の知人にお願いして車を出してもらうことにした。こうして、先月の年末に自宅で倒れて救急入院した真ん中のおばちゃんを不安な状態で自宅に戻すことなく施設へと入れてもらえることになった。本人の気持ちを考えると申し訳ない思いもありつつ、プロの介護に委ねられることは自他共に安全安心につながるに違いないのだから、母と僕はとりあえず安堵のため息をつかせてもらえたのだ。

(空き家で地元貢献「不思議なおばちゃん達と僕」の「その22」に続きます。)
※"空き家"の掃除日記はこちらをご覧ください。↓
 「ほのぼの空き家の掃除2020.11.14」
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