新潟久紀ブログ版retrospective

地域農政推進課11「他県調査に行くべし(その2)」編

●他県調査に行くべし(その2)

 そうした中である日、全国紙の記事を何気なく眺めていると「疎開保険」というワードが目に飛び込んできた。
 鳥取県の智頭町という地方の町が、東京など都会人に向けて、毎年一定の掛け金を払ってくれたら、大地震等に見舞われた時の避難先となる居所を智頭町内に確保することをお約束しますよ、避難する事態にならなかった年は掛け金の半分の金額相当の地元特産品を宅配しますよ、という制度を創設したというのだ。イザというときに避難できる疎開先を一定の保険料で担保するというのだ。
 仕組みを見ていくと、イザ避難という時に初めて智頭町に訪れても馴染めるわけがないので、平時からお試しで避難先となる宿所に泊まりがけで来訪することなどが制度の運用に盛り込まれている。宿所としては空の施設を勝手に使えと言うような用意のされ方ではなく、いわゆる民泊対応ができる民家が充てられることになっていて、そこに住む地元民が来訪時に地域との橋渡しをしてくれたりする。民泊施設なので部屋はもとより洗面所や浴室などが独立していたりして、あまり干渉が過ぎずに、されども家主と広間で酒を酌み交わしたりできて、見ず知らずの疎開の地で寂しい思いをさせないという絶妙の制度設計らしい。
 当課の防災グリーンツーリズムの取組みにおいて、なんとなくモヤモヤしていた気持ちが「これだ」とばかりズバリと視界が晴れた気がした。新潟も東京人に向けたこうした仕組みを構築すれば、平時の日頃から交流を重ねつつ非常時に避難先とされ、地域や住民との付き合いが深まる中で移住にまでつながるようなものとできるのではないか。それが農業農村の環境そのものを武器として農業農村へ住まう人を呼び込み、農業の担い手の確保に通じるのではないか。
 鳥取県智頭町の疎開保険についてネットなど調べていくと、災害の無い日頃がら都会人と交流を深めるために、来訪の誘因となるような季節のイベントを催したり、ホストとなる民泊家主達が都会暮らしの人でも気兼ねなくお試し宿泊してもらえるように、居心地のよさを高める簡易な補修をしたりしている様子などが伺えた。
 いかに町を上げて本気で取組んでいるかを知るほどに是非とも現地で関係者から話を直接聞いたり現場の雰囲気を体感したくなってきた。

(「地域農政推進課11「他県調査に行くべし(その2)」編」終わり。「地域農政推進課12「他県調査に行くべし(その3)」編」に続きます。)
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