●あけぼのハウス引上げの日(その2)
友人がトラックを出してくれて大物の家財道具や梱包した図書などを実家に移送し終えると、あとは小物やデリケートに扱う必要のあるものなどを愛車三菱ランサーEX1400GLで運ぶことになる。
実はこれが結構やっかいで、何といっても当時は直径31cmの低音用スピーカを備えた3wayスピーカシステムを当然ステレオ用なので2台持っていたので、底面が39cm×38cm、高さ71cmの直方体で31kgもの重さの「取り扱い注意」物を2台、愛車の後部座席にそおっと立てかけて道の凸凹で傷めないようにゆっくりと慎重に柏崎市までの約80kmの道のりを走ったものだ。
スピーカだけでも車内の空間が随分占拠されたので、残るヤマハ製のプリメインアンプやパイオニア製のチューナー、デンオン製のカセットデッキなどなどは、慎重さが更に求められるデリケートさも相まって、段ボールに毛布などを噛ませてエライ嵩張りに。結果して愛車での柏崎市往復は1日に2往復にも及んだのだ。
そうした涙ぐましい努力の末に、あけぼのハウス203号はすっかり何もなくなり、私の凝り性もあって床や壁なども入居時の3年前と大差ないほどに掃除を仕上げたと自負できるほどになった。
不動産業者の立ち合い確認の日には、「どうだ文句のつけようもあるまい」とばかりドヤ顔で呼び出しブザーに応えてドアを開けたのであるが、それが少し元気良すぎたむのと、かねてからの春先の突風の差し込みで、アルミ四方のドアがバタンと大きな音を立ててこれ以上開くはずがない角度にまで開いて壁にぶち当たってしまった。
明らかに「あ~あ、やってくれましたね」という表情の業者を前に、私のドヤ顔は一気に青ざめ顔になったのだが、そこはやんちゃな学生相手を重ねてきた業者らしく落ち着いたもので、「突風のせいだからしようがありませんね」と不問に付してくれた。
そもそもその通りで私には何の落ち度もないのだが、私が開けたタイミングでドアが壊れたというそのタイミング的に、何となくばつが悪い感じがして悔しかった。
あけぼのハウス203号室は最後の最後まで"思い出づくり"をしてくれたものだ。
(「新潟独り暮らし時代59「あけぼのハウス引上げの日(その2)」」終わり。仕事遍歴を少し離れた独り暮らし時代の思い出話「新潟独り暮らし時代60「久々で僅かな実家暮らし」」に続きます。)
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