日の本の下で  究極の一点 Ⓢ への縦の道

『究極の一点』Ⓢ 
神のエネルギーの実在を『フライウェイ』の体験を通して知り、
伝えるデンパ(伝波)者

『ヘブンリー ブルー』 自己免疫疾患という経験  ⑱

2018年02月01日 | 『ヘブンリーブルー』自己免疫疾患という経験

その日は十二月の最後の診察日であった。

いつものように採尿をしてから採血の順番を待った。

カウンターに複数の採血窓口が有り

発行された№の順番に呼ばれ採血されるのだが、

私は一番最初に採血された時にここの室長と

思われる男性に採血してもらった。

 

子供の頃からの経験で

担当する人が採血が上手いか下手かは血管を探す様子で大抵わかった。

その室長らしき人は迷いなくすぐに血管をみつけ

過去最高レベルのほぼ無痛の採血をしてくれた。

 

残念ながらその方に当たったのは最初だけであったから

今日こそはと思って採血の順番を待っていると

何やらその男性をご指名の患者さんがいたらしく、

順番とは違う前の番号の方が呼ばれて男性と挨拶をしていた。

これまで幾度となく採血をしてきたが、採血者を指名しているのに

出くわしたのはその時が初めてだった。

 

責任者と思われる男性の腕ならばと

その様子を眺めながら納得がいった。

私は今日も無理かなとあきらめて*****をしながら待つ事にした。

すると順番で呼ばれた人が採血室にいなかったので

私がひとつずれてその男性に採血してもらえる事になった。

 

椅子に座り指示を聞きながらその方のネームを見るとやはり責任者の文字があった。

手早い採血を楽しんでいると、男性の用具入れらしいものが目が入った。

プラスチック製のトレーの横側には「〇〇さん」と書かれておりその名札は

キティちゃんのクリップで止められていた。

採血をしてくれている熟練の男性とのギャップが微笑ましく

職場としての採血室の雰囲気がうかがえた。

 

私は指名が出来るか聞きたかったが、大の大人がという面子が先にたち

聞く事が出来ないうちに採血は終わった。

 

いつもの吹き抜けロビーに戻り*****をした。

それにしても、この場所は不思議だった。

深夜でベッドに腰かけて行う*****とは違い

とても軽やかに出来る感じがした。

 

時間を忘れて*****をしていると呼び出し機が

待合フロアーに入るように告げた。

血圧を測り診察室の前の長椅子に座ると

少し離れた場所に小冊子の棚があり

ステロイドという文字が目に入ったので手に取った。

それはステロイドに関する注意事項で副作用の他に

誤解されている事を治療する側の視点で書いていた。

 

呼び出し機が鳴り

いつもより少し早めに診察室に呼ばれた。

 

椅子に座ると担当医は今までにない明るい表情で

 

「検査結果は良くなってますね。」と言った。

 

私は深夜の痛みの定期便や、朝の両足のこわばりなどから

自分の病が良い方に向かっているのか悪くなっているのかわからなかった。

ただただ、いつ果てるともしれない痛みの繰り返しに

溺れないように*****をして耐えている毎日であった。

 

「本当ですか」

 

「 はい、 まず血尿はなくなりました。あと尿細胞診検査も今回は異常ありませんでした。 

 CRP値(炎症値)もかなり下がりました。貧血も改善がみられます。」

 

「 では 癌の可能性はさらに低くなりましたか?」

 

「そうですね。そう言えると思います。」

 

「では私の病気は 膠原病なのですか?」

 

「 関節リウマチではないと思います。リウマチ性多発筋痛症に症状は似ていますが、

  ステロイドを服用していないで

  数値の改善が見られるので断定はまだできません。」

 

「 先生、このままステロイドを飲まずに経過観察のままでいいですか。」

 

「 ここまでCRP値が下がってきているのでまだ様子をみましょう。」

 ただ私の診察は今日が最後なので、

 引継ぎをしておきますので来月から〇〇先生に経過を診てもらって下さい。」

 

担当医は一番最初に診察した時に予め自分が十二月いっぱいまでで転勤になる事を

説明してくれた上で自分が担当でも良いかどうかを聞いてくれた

私は受付でのクレームの件もあったが、担当医の姿勢に好感がもてたので

十二月までの限定であったがお願いしたのだった。

 

「お世話になりました。わがままな患者ですみませんでした。」

  

 自分の父親ほどの年齢の変わり者の患者は

 さぞやり難かっただろうというのが素直な気持ちだった。

 

 担当医はいつもと同じよに落ち着いた声で

 「お大事に。」

 と言ってディスプレイに視線を戻した。

 

 診察室を出て吹き抜けフロアーに向かって歩きながら

 「あの先生で本当に良かったな。」歩きながらしみじみ思った。

 

自分が子供の頃から出会ってきた多くの権威主義のようなドクターなら

このような気持ちにはならなかっただろうと。

 

癌の検診を拒否すれば、相手にしてもらえなくなる可能性もあっただろうし

またステロイドの治療に選択権はなかったかもしれない。

途中で病院に来る事を強制終了してしまわなくて済んだのは

担当医のおかげであった。

 

日暮れた家路がこんなに楽しく思えたのは久しぶりであった。

団地の入り口に着き、

いつものように見上げた我が家に灯る光は

透明な深い青の広がる天空に

希望と呼ぶにふさわしい輝きを放っていた。

 

 

 

           『ヘブンリー  ブルー』自己免疫疾患という経験      

                                     了

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                   


『ヘブンリー ブルー』 自己免疫疾患という経験  ⑰

2018年02月01日 | 『ヘブンリーブルー』自己免疫疾患という経験

それからも日々の症状は一進一退であった。

中でもいかに深夜零時から午前四時の間に起こる定期便のような痛みを

切り抜けるかが、毎日の課題であった。

 

その時刻が来るとまるで潮が満ちてくるような感覚に襲われ、

荒れた海の中で体を動かす事が出きず

溺れてゆくような夢とも現実ともつかぬ時間が始まるのだった。

 

深夜痛みでどうしようもなくなると必死の思いでべッドに腰掛け*****をした。

*****をしている短い時間だけは、痛みの波は静まるのだった。

 

その日も午前三時を回った頃に満ち潮に似た痛みの波が押し寄せてきた。

私はうまく起き上がれなくなる前にベットに腰かけて*****をした。

ふとある詩が思い出された


『砂の上の足跡』


ある晩、男が夢を見ていた。

夢の中で彼は、神と並んで歩いていた。

そして空の向こうには、

彼のこれまでの人生が映しだされては消えていった。

 

どの場面でも、砂の上にはふたりの足跡が残されていた。

ひとつは彼自身のもの、もうひとつは神のものだった。

 

人生のつい先ほどの場面が目の前から消えていくと、

彼はふりかえり、砂の上の足跡を眺めた。

すると彼の人生の道程には、

ひとりの足跡しか載っていない場所がいくつもあるのだった。

しかもそれは、彼の人生の中でも、

特につらく、悲しいときに起きているのだった。

すっかり悩んでしまった彼は神にその事を尋ねてみた。

 

 『神よ、私があなたに従って生きると決めたとき、

 あなたはずっと私とともに歩いてくださるとおっしゃられた。

 しかし私の人生のもっとも困難な時には、

 いつもひとりの足跡しか残っていないではありませんか。

 私が一番あなたを必要とした時に

 何故あなたは私を見捨てられたのですか』

 

神は答えられた。

 

『わが子よ。 私の大切な子供よ。私はあなたを愛している。

 私はあなたを見捨てはしない。

 あなたの試練と苦しみの時に、ひとりの足跡しか残されていないのは

 その時わたしがあなたを背負って歩いていた。』

                           作者不詳

 

 私は最初にこの詩を読んだ時にはその真意がよくわからなかった。

 

だが痛みにおののき*****を終えた時、

わたしがあなたを背負っていたという意味が分かった気がした。

 

深夜暗い部屋のベッドに腰かけ痛みと向き合っていても、

*****をすれば孤独を感じなかった。

私という宇宙に比べれば何にも値しない小さきものも

この広大な宇宙を生み出した力と一つの線で結ばれ

命の源となる限りなく大きな力に包まれているような感じがした。

 

私は一人ではないと思え

胸に何かが満ち溢れるのをその時両手で押さえていた。